宇部興産 PI原料モノマー、宇部工場の増設を決定

, , ,

2020年12月4日

 宇部興産はこのほど、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内にポリイミド(PI)原料モノマー(BPDA:ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)の工場増設を決定したと発表した。液晶テレビ向け回路基板やスマートフォン向け有機ELディスプレイ、並びにハイブリッド車や電気自動車などの電装品市場拡大に対応するためで、稼働は2023年度下期を予定している。今回の増設により生産能力は現状比60%アップとなることから、昨年度に実施したPIフィルム「ユーピレックス」やPIワニス「ユピア」の設備再稼働・増産に加え、ポリイミド原料の外販市場への供給量を拡大していく。

 PIフィルム・ワニスは、電子情報関連機器の回路基板材料などに使用されており、スマートフォン、パソコン、デジタル家電などの市場拡大や高機能化に伴い、今後も需要拡大が見込まれている。同社のPIフィルムはLCD(液晶ディスプレイ)やOLED(有機EL)ディスプレイ分野向けを主体としたCOF(チップ・オン・フィルム)用途で、PIワニスはOLEDディスプレイ用途で、それぞれ高い市場シェアを獲得。また、FPC(フレキシブル・プリント回路板)用途でも販売量の増加が続いている。

 こうした需要好調に伴い、昨年度には休止中であった堺工場(大阪府堺市)のPIフィルム製造ラインを再稼働させるとともに、宇部ケミカル工場のPIワニス工場の生産能力も増強した。また、これに伴いBPDA工場のデボトル増産工事も併せて実施しているが、今後さらなる需要拡大が見込めることから、BPDAについても積極的な生産能力増強と安定供給体制の確保が必要であると判断した。

 同社は、一連の生産能力増強により積極拡大事業であるPI製品チェーンの事業基盤の強化・拡大を図っていく考えだ。

 

宇部興産 「アビガン」中間体の緊急製造・供給開始へ

, , ,

2020年4月24日

 宇部興産はこのほど、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内の医薬品工場で、富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)の原薬主骨格を成す重要な中間体の製造と供給を開始すると発表した。

アビガンの中間体等を製造する宇部興産医薬品工場
アビガンの中間体等を製造する宇部興産医薬品工場

 「アビガン」は現在世界で蔓延する新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)に対する効果が期待されており、日本国政府も同剤の治験および承認手続きの早期推進と、日本国内での生産体制の構築を進めている。

 宇部興産はグローバルに医薬品の原体・中間体製造を展開しており、抗インフルエンザウイルス薬としての「アビガン」中間体の製造と供給に実績を持つ。今回、サプライチェーン各社と協力することで、COVID‐19の罹患者へより早期の「アビガン」提供に貢献できるよう、現在、緊急製造開始に向けて準備を進めている。

 同社は創業の精神である「共存同栄」の観点に立ち、この要請に応え、社会に対する企業使命を果たしていく考えだ。