ソルベイ PPSの各種押出し成形グレードを上市

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2018年10月24日

 特殊ポリマーの世界的サプライヤーであるソルベイはこのほど、同社の「ライトンポリフェニレンスルフィド(PPS)」の各種押出し成形グレードを上市すると発表した。同製品は要求の厳しい自動車の冷却配管アセンブリ用途として、実績のあるライトンPPS射出成形材料と併用可能。

 PPS押出し成形シリーズは、「ライトンXE3500BL」「ライトンXE4500BL」「ライトンXE5500BL」という3種類のグレードが用意され、グローバル展開している。これらのグレードの剛性は1500~2500MPaの範囲で異なり、様々な肉厚と直径をもつフレキシブルチューブの要件を満たすことができる。

 また、押出し成形後の熱成形にも適している。同社の新たな押出しポリマー技術を使用して作られた柔軟な冷却配管は、高い溶融強度、耐薬品性、熱安定性を示し、破断時引っ張り伸びと衝撃強さが向上している。

 同社の射出成形グレードとしては、「ライトンXE5430BL」(30%ガラス繊維強化)および「ライトンR-4-270BL」(40%ガラス繊維強化)がある。これらの材料は既存のコネクターとブラケット取り付け部品の多くに適合することで定評があり、そのため、エンジンやトランスミッション用に完全調和した一体型の冷却配管アセンブリを自動車OEMが設計することができる。

 同社のSpecialty Polymers global business unitでEuropean Area Development Managerを務めるAndreas Lutz氏は「エンジンルーム内の温度により、既存の冷却配管の設計および材料ソリューションが限界まで押し上げられ、安全マージンが狭められている」と語り、「エンジンの小型化に加え、ターボチャージャー、スーパーチャージャー、自動変速機、エアーコンディショニング、排気再循環システムなどの高温部品が一般的になり、これらすべてがさらに縮小されるエンジンルームに詰め込まれることから「スペース不足」が発生し、過熱部分では従来の金属/ゴムおよびポリアミド樹脂(PA)による設計の耐熱性能を超える可能性がある」と述べている。

 その中でも冷却配管はエンジンルームに収めるための設計が最後に行われるコンポーネントであるため、材料はより複雑な配置を可能にする設計の自由度を与えるだけでなく、重量の増加(断熱構造の追加の必要性など)なしに動作の安全性を確保する、高度な耐熱や耐薬品性能も提供する必要がある。

 同社のライトンPPS押出し成形グレードにより、OEM各社では、大型で高価なパワートレインの流体処理配管から、スマートで軽量の一体型ソリューションへの置き換えが可能になる。このソリューションには、コネクター、オーバーモールドされたブラケットやライトンPPS射出成形グレードで作られた溶着によるブラケットが含まれる。

 ヨーロッパの一部の大手自動車OEMはすでに軽量の「ライトンPPSソリューション」を導入済みだが、他にも様々なクーラント、エンジン、パワートレインのオイル処理システムでの使用を検討中であり、従来の複合材料(金属/ゴム)とPAの設計の置き換えを模索している。

 同氏は「流体処理配管が複雑になればなるほど、軽量化のみならず製造の簡素化および組み立てコスト削減にライトンPPSが貢献できる」と述べている。