DICグラフィックス インキ・接着剤・塗料など値上げ

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2023年4月24日

 DICの子会社であるDICグラフィックスは21日、今年2月に発表した白インキの価格改定に加えて、グラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属缶用のカラーインキについて、5月1日出荷分から値上げすると発表した。

 対象製品と改定幅は、グラビア・フレキソインキのカラーインキが「50~100円/kg」、メジューム・ニスが「30~50円/kg」、接着剤の主剤が「50~80円/kg」、硬化剤が「50~100円/kg」、製缶用塗料が「50~70円/kg」、金属インキが「70~100円/kg」。

 白インキの主原料である酸化チタン以外でも顔料、樹脂、容器費など各製品の主原料価格は高止まりの状況が続く。加えて、昨今の世界情勢に伴うエネルギー価格の高騰により、電気・ガス代などのユーティリティ費、物流費、設備保全などの大幅なコスト増加も引き続き収支への圧迫要因となっている。同社は、自助努力による吸収を続けてきたものの、安定供給と品質の維持・向上を図るため、追加での価格改定が避けられないと判断した。

産総研など 接着剤の剥離挙動を電子顕微鏡で直接観察

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2021年12月6日

 産業技術総合研究所(産総研)と科学技術振興機構(JST)はこのほど、電子顕微鏡で接着剤の剥離過程をリアルタイムで直接観察することに世界で初めて成功した。破壊に至るまでの、接着剤の極微小な変形・進行現象を明らかにしたことで、破壊メカニズムを解明し、接着接合の耐久性向上に向けた接着剤の高性能化や被着体表面処理の最適化が期待される。

 CO2排出量削減に向け、自動車などの輸送機器の燃費向上のための車体軽量化は必須で、異種材料を適材適所に配置したマルチマテリアル構造設計による軽量化が有効だ。接着接合は生産性とコストの面で優れている。普及には接合部の強度や耐久性の信頼性確保が重要だが、その実証は困難なため、科学的裏付けが必要となる。

 今回、接着接合部の破壊メカニズム究明に向け、破壊現象に伴う極微小な変形現象を観察した。光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)では1㎛以下の微細変形を観察できないため、より高倍率の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた。電子線が透過するよう、アルミニウム合金とエポキシ系接着剤の接着接合試料から厚さ100㎚程度の薄片試料を切り出し、試料両端を引っ張りながら接着部の破壊挙動を観察した。

 まず接着剤に小さなひずみが発生し、それが微小なき裂となり、さらに接合面に微小の空洞が発生する。その後、微小なき裂が接合部に到達すると接合面に沿って進展し、接合面に発生していた微小の空洞と一体化し破壊に至る。破壊後の被着体表面の所々に接着剤が残っていることから、アルミ表面のわずかな凹凸が破壊挙動に関与していると考えられる。このように、破壊の起点が接着剤内部、接合面、金属層のいずれであるかが明確になり、破壊形式を明らかにすることで、接合部の耐久性向上に有効な接着剤や基材の表面処理法の開発指針の提供が可能になる。

 今後は、接着接合部の破壊現象のリアルタイム観察結果をシミュレーションで再現することで、複雑な接着破壊現象のメカニズム解明を進める。さらに、その知見を基に接着剤の耐久性向上と被着体の表面処理の最適化など、接着接合の信頼性の評価・実証につなげる予定だ。

凸版印刷 レトルト対応のデジタルプリント接着剤を開発

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2020年7月7日

 凸版印刷は6日、軟包装のデジタルプリントを汎用のラミネーション機械で加工でき、レトルト殺菌対応製品に使用可能な接着剤を開発したと発表した。今回開発した接着剤を使用することにより、デジタル印刷パッケージの活用範囲が広がり、消費者の多様化するニーズに対応した高付加価値商品の提供が可能となる。

 軟包材を用いた商品パッケージの製造は、コスト面などから専用の機械を用いた大量生産が一般的。しかし近年、消費者のライフスタイルの多様化などにより、商品に対する市場のニーズが多角化し、店頭で他社の類似商品と差別化するためにも、パッケージに求められる役割が増加している。

 同社は軟包装分野で小ロット・多品種生産に最適なパッケージを提供する「トッパンFP(フレキシブル・パッケージ)デジタルソリューション」を展開。また昨今「巣ごもり」需要の影響で、長期保存可能なレトルト食品の消費は増加しており、レトルト食品用パッケージはさらなる需要増が見込まれる。ただ、デジタルプリントでレトルト殺菌用製品を生産する場合、専用の設備が必要で、汎用のラミネーション機械では加工が行えない課題があった。

 こうした中、同社は、レトルト殺菌が可能で汎用のラミネーション機で加工できる接着剤を開発。これにより汎用ラミネーション設備でレトルト殺菌対応製品が製造可能となり、レトルト対応製品にデジタルプリントの特長である小ロット(最低ロット1000枚から)のオリジナルデザイン印刷が可能となった。

 同製品の特長として、①小ロットでレトルト食品パッケージにオリジナル印刷展開が可能、②最低ロット1千枚から対応が可能で、パッケージおよびラベルの余剰品を削減でき、環境負荷が最小となる包装設計が行える、③製版不要のため、複数デザインのパッケージ製造が可能、④情報加工技術を応用し、グラビア印刷と同等の印刷品質を実現、⑤テストマーケティングや数量限定パッケージなど幅広い用途に活用、などが挙げられる。

 同社は、7月から食品やトイレタリー、化粧品業界などの国内市場向けに同製品の提供を開始し、2021年に約3億円の売上を目指す考えだ。

新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル
新開発した接着剤によりレトルト対応が可能になった製品サンプル