富士フイルム 英向け新型コロナワクチン候補の原薬製造を受託

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2020年9月8日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品CDMO(開発・製造受託)子会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が、英国政府が調達する新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託したと発表した。

 受託するのは、米国バイオテクノロジー企業ノババックス社が開発する「NVX-CoV2373」で、新型コロナウイルスの遺伝子情報で作った抗原を有効成分とするワクチン候補。臨床第Ⅲ相試験は米国、英国などで今秋より開始予定。英国政府は先月、同ワクチン6000万回分をノババックス社から調達することを決定し、英国での臨床第Ⅲ相試験や生産体制構築への協力を表明している。

 FDBは、原薬製造を来年初めより英国拠点で行い、英国での同ワクチンの迅速・安定供給に貢献していく。なお、英国拠点の原薬製造能力は年最大1億8000万回分の投与量に相当し、英国以外にも供給可能だ。

 同社は30年以上の受託実績と高度な生産技術・最新設備をもち、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応し受託ビジネスを拡大。

 今年7月には、ノババックス社から米国で今秋計画の最大3万人規模の臨床第Ⅲ相試験に向けた同ワクチンの原薬製造を受託し、米国ノースカロライナ拠点で製造を開始した。米国テキサス拠点でも、米国政府が開発支援する同ワクチンをはじめとしたワクチン候補の原薬製造を行う計画だ。

 ワクチン候補の原薬製造のほか、同社デンマーク拠点は新型コロナウイルス感染症治療薬のプロセス開発・製造を「COVID‐19 Therapeutics Accelerator」治療推進プロジェクトから受託した。米国、英国、デンマークの全拠点の製造インフラを活用して、ワクチン・治療薬の開発・製造を支援する。

 FDBは今後、新型コロナウイルス感染症ワクチン・治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、新型コロナの感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。

AGC 新型コロナワクチン関連の受託製造規模を拡大

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2020年9月8日

 AGCはこのほど、CDMO事業子会社のAGCバイオロジクス(米国)が、米国ノババックス社からの新型コロナウイルス感染症ワクチン候補「NVX-CoV2373」のアジュバント(性能促進剤)「Matrix-M」の受託規模を従来の約1.5倍に拡大したと発表した。追加受託分は、米国シアトル工場で製造する。

 ノババックス社は、重篤な感染症の次世代ワクチン開発を行うバイオテクノロジー企業で、独自のナノ粒子技術で製造する「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補だ。従前からのCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)の支援に加え、今年7月には米国政府がワクチン開発の目的で立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」から16億ドルの助成を受け、ワクチンの臨床開発を進めている。

 「Matrix-M」は「NVX-CoV2373」の免疫応答を増強し、中和抗体産生を刺激する、同社占有のアジュバントだ。AGCバイオロジクスは現在、ノババックス社のワクチン供給量の大幅増強に向けて、「Matrix‐M」製造のプロセス最適化の段階から受託し、現在コペンハーゲン工場で実施中。受託拡大分は米国シアトル工場で製造する。

 AGCグループは日米欧に製造拠点をもち、プロセス開発、スケールアップ、治験段階から商用医薬品原薬の製造まで、様々な高付加価値サービスを提供。引き続き、製薬会社の新型コロナウイルス感染症ワクチンや治療薬の製造を担うことで、新型コロナウイルスの感染拡大抑止や流行の終息に貢献していく考えだ。