東洋紡 60分以内で検出、新型コロナ検出キット発売

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2020年4月20日

 東洋紡はこのほど、最短60分以内で新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の抽出と検出・測定が可能な新型コロナウイルス検出キット「SARS‐CoV‐2 Detection Kit」を開発した。全国の研究機関や大学の研究室、製薬メーカーの研究部門向けに同日から販売を開始し、新型コロナウイルスの治療薬などの早期開発に貢献していく。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 同社が開発した検出キットは、遺伝子の抽出工程と増幅(PCR)・検出工程に掛かる手間・時間を大幅に短縮する。遺伝子の抽出工程では、サンプル中に夾雑物(きょうざつぶつ)が混じっていても反応が阻害されにくい、同社独自の遺伝子増幅酵素(特許出願中)を採用。夾雑物を取り除く必要がなくなり、煩雑な遺伝子の精製過程を省略できることから、検出キットに含まれる前処理液とサンプルを混合させるだけで遺伝子の抽出工程が最短2分で完了する。

 また、増幅・検出工程では、試薬の配合を調整して酵素の働きを最適化し、増幅に掛かる時間を従来の半分以下の最短56分に短縮。これにより、新型コロナウイルスの抽出から検出・測定まで最短60分以内で実現した。

 PCR法には、ウイルスから遺伝子を抽出する工程(約30分~2時間)と、遺伝子を増幅・検出する工程(約2時間)があり、これまで約2時間半以上掛かるのが一般的だった。このため、治療薬などの研究・開発で大量のサンプルを扱う場合に、多くの手間や時間を要する一因となっていた。なお、同検出キットの使用に際しては、汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)だけで行え、抽出装置などを新たに準備する必要はない。

 今後は、同検出キットの開発で得られた知見や技術を応用し、全自動遺伝子解析装置「GENECUBE」用の診断薬の開発に取り組んでいく考えだ。

 今回の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、北里大学・大村智記念研究所と国立感染症研究所・インフルエンザウイルス研究センター第2室との共同研究で実現した。