日本電気硝子 酸化物全固体Naイオン二次電解質を実現

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2023年3月7日

 日本電気硝子はこのほど、有機系電解液を超えるナトリウム(Na)イオン伝導性と広い作動温度域をもつ結晶化ガラス製の固体電解質を開発し、現行のβアルミナから置き換えることで、電池の主要部材のすべてに結晶化ガラスを用いたオール結晶化ガラスの酸化物全固体Naイオン二次電池を世界で初めて実現したと発表した。

現行品と開発品の変更点

 主要部材(正極、負極、固体電解質)をすべて結晶化ガラスに “日本電気硝子 酸化物全固体Naイオン二次電解質を実現” の続きを読む

日本電気硝子 世界初の全固体Naイオン二次電池を開発

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2021年12月13日

 日本電気硝子はこのほど、新たに結晶化ガラスの負極材を開発し、結晶化ガラス正極、固体電解質と一体化したオール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池の駆動に世界で初めて成功した。出力電圧は3Vで、現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性をもつ。

 同社の全固体Naイオン二次電池技術は、資源量の豊富なNaや鉄を用いており、資源確保が問題とされるリチウムやコバルト、ニッケルなどの希少金属元素を必要としない。また、電池材料は全て安定な物質である無機酸化物で構成されており、使用時・製造時あるいは釘やナイフが刺さっても、発火や有毒物質発生の懸念がない。

 電池性能の面では、ガラスの軟化流動性を利用して固体電解質と正極・負極を一体化。イオン伝導性が高いため、低温でも駆動する。また、固体電解質はイオン移動による劣化が小さく、サイクル特性に優れる。シンプルな構造と高電位系活物質の開発により、エネルギー密度の高い電池が作製可能だ。

 同社は、実用性能をもち、安価な資源を活用でき、高い安全性をもつオール酸化物全固体Naイオン二次電池を脱炭素社会のキーパーツとし、1日でも早く広く世の中に提供できるよう、製品化に向けた取り組みを加速していく。なおこの成果は、11月30日から開催された第62回電池討論会(パシフィコ横浜)で報告された。

日本電気硝子 超薄板ガラスが3M溶接ヘルメットに採用

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2020年10月5日

 日本電気硝子はこのほど、超薄板ガラス「G‐Leaf」が欧州で発売の3M社製溶接用ヘルメットの最新モデル「3M Speedglas Welding Helmet G5‐02」に採用されたと発表した。曲面形状の自動遮光フィルターを装備した世界初の溶接用ヘルメットで、格段に広い視野角と軽量コンパクトな形状が大きな特長。

 「G‐Leaf」は、日本電気硝子が製造・供給する厚さ200㎛以下の超薄板ガラスで、平滑性とフレキシブル性が高く曲げや巻きができるため、フレキシブルデバイスやタッチパネルなどに採用されている。自動遮光フィルターは、内蔵する液晶に電圧をかけて透過光量を調節するデバイス。同社の成膜技術により超薄板ガラスに高品質透明導電膜を付けたものが、液晶モジュール基板として複数枚使用されている。

 同社は特殊ガラスのリーディングメーカーとして、高品質な薄板ガラスを生産・供給し、様々な産業の発展に貢献している。透明導電膜、反射防止膜などの成膜技術を生かした製品開発にも積極的に取り組み、今後も大型化、薄型・フレキシブル化、高機能薄膜など、多様なニーズに応えるモノづくりを通して、社会に新たな価値を提供していく考えだ。

日本電気硝子 業界最小の誘電正接LTCC材料の開発

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2020年10月1日

 日本電気硝子はこのほど、5G通信用の部品やデバイスに適した低誘電正接LTCC用材料を開発・上市したと発表した。5G通信は高速・大容量、低遅延通信、多数同時接続できる次世代通信技術として注目され、システム構築が急がれている。

 5G通信はミリ波領域の高周波数(28~40GHz)を利用。周波数、誘電正接に比例して信号が減衰し通信品質が低下するため、低誘電正接材料が求められる。LTCCはガラス/セラミック粉末による複合セラミック。1000℃以下の低温で焼結し、高電気伝導率の銀導体との同時焼結による多層化で複雑な高周波部品を製造でき、回路基板やフィルターなどの信号処理部品・デバイスに使用される。

 同社は低誘電正接を特長とする3タイプ(低誘電率、高膨張、高強度)のLTCC用材料を開発し、販売を開始した。誘電正接はいずれも従来の4分の1から半分で、さらに高周波数のミリ波レーダー部品や60GHz帯WiFiにも有効。低誘電率タイプは伝送損失・遅延速度の低減によりインダクタ、モジュール基板に最適、高膨張タイプは樹脂基板に近い熱膨張係数をもち接合時の信頼性が向上、高強度タイプは業界最高の曲げ強度で基板の薄型化が可能になる。

 同社は様々な電子デバイス向け特殊ガラスを製造・販売しているが、今回開発した製品で新たな市場ニーズに対応し、次世代通信機器の性能向上に貢献していく考えだ。

日本電子硝子 5G 中面

 

日東電工など 世界初の超薄板ガラス偏光フィルムを開発

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2020年8月20日

 日東電工はこのほど、日本電気硝子と共同で連続生産性に優れたロール・ツー・ロールプロセスによる「超薄板ガラス偏光フィルム」の開発に成功したと発表した。両社は、日本電気硝子の超薄板ガラス「G‐Leaf」と日東電工の多種多様な高機能樹脂フィルムを複合化し、新機能をもつ新材料の開発を進めている。

ロール品
ロール品

 今回開発したのは、日本電気硝子の厚さ100㎛、長さ1km超の「G‐Leaf」ロールと、日東電工の薄型偏光フィルムを、日東電工のロール・ツー・ロールプロセスで連続的に精密接着積層しロール状に巻き取った、世界初の製品。ガラス特有の質感や平面平滑性、硬度に加え薄く軽量なため、ディスプレイパネルのカバーに使用すると、ディスプレイ最表面/画像表示面間の視差低減により視認性が向上し、タッチセンサー感度も大きく向上する。現在ディスプレイ分野への早期対応に向けて量産準備中だ。

シート品
シート品

 同社は今後も、様々な分野への貢献を視野に入れ、引き続き日本電気硝子との共同開発を進めていく考えだ。

日本電気硝子 カバーガラス用世界最薄ガラスを開発

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2020年8月5日

 日本電気硝子はこのほど、フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に世界最薄となる厚さ25㎛の化学強化専用ガラス「Dinorex UTG」の開発に成功したと発表した。

 スマートフォンやタブレットなどの携帯端末のカバーガラスや、車載ディスプレイなどのディスプレイ画面を傷や衝撃から守る化学強化専用ガラス「Dinorex」に、フォルダブルディスプレイ対応の最薄の「Dinorex UTG」が加わった。

  同製品は同社のオーバーフロー技術により直接成形し、その高い表面平滑性と板厚均一性による優れた曲げ特性で(直径3mmの折り曲げ可能)、高信頼性のフォルダブルディスプレイが実現できる。

 また従来の薄板ガラス製造に使われるスリミング工程(元板をフッ酸溶解で薄膜化)は不要で、環境負荷物質の使用削減とコストダウンにも寄与。同社は、高品質な特殊ガラスの開発・生産によるディスプレイ産業の発展と、透明導電膜や反射防止膜などの成膜技術を生かした製品開発に取り組んでいる。

 今後も大型化、薄型・フレキシブル化、高機能薄膜など、様々なニーズに応えるモノづくりを通して、社会に新たな価値を提供していく考えだ。