出光興産 CO2を航空燃料に資源化、環境省委託事業に採択

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2021年8月25日

 出光興産など6社は24日、環境省地球環境局が公募した「令和3年度二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」に対して、「人工光合成技術を用いた電解による地域のCO2資源化検討事業」を提案し委託事業として採択されたと発表した。出光興産、東芝エネルギーシステムズ、東洋エンジニアリング、東芝、日本CCS調査、全日本空輸の6社は、今年9月から共同で実証事業を行う。

  これまで6社は連携して、東芝研究開発センターが開発したCO2を一酸化炭素(CO)に転換するCO2電解技術を使い、COと水素から液体燃料を合成するFT(フィッシャー・トロプシュ)合成技術と組み合わせて、「持続可能な航空燃料(SAF)」を製造する、P2C(再エネや再エネ水素などを活用しCO2を環境価値の高い有価物に再利用する技術)による炭素循環ビジネスモデルを検討してきた。

 この取り組みが環境省の委託事業に採択され、今後6社は地域のインフラや特徴を生かしてカーボンリサイクルを地域内で実現させ、脱炭素化の促進と地域振興を両立させる検討を行う。具体的には、東芝エネルギーシステムズが実用規模のCO2電解装置のプロトタイプを製作し、同社の浜川崎工場(神奈川県川崎市)で運転実証を実施。これをベースに、各社がもつ知見・技術や関連するプラント設備などを生かし、CO2の分離回収からSAF製造、消費までの全工程を、北海道苫小牧市を含む候補地で実証することを想定した基本計画を作成する。これから得られたデータ・知見を、地域の炭素循環社会モデルに反映させ、事業成立性を評価する。

 6社は今回の実証事業を通じ、炭素循環に基づくSAFサプライチェーンの商業化や、地域の活性化の促進に貢献していく。

NEDO 船舶によるCO2大量輸送技術の実証事業開始

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2021年7月5日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所から排出されたCO2を活用地・貯留地まで低コストで大量・安全に輸送するための研究開発と実証事業に着手すると発表した。2030年頃のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の社会実装を視野に入れ、年間100万t規模のCO2排出地から貯留・活用地への長距離・大量輸送と低コスト化技術の確立を目指す。

 CCUSやカーボンリサイクルは、脱炭素社会を実現する技術とし注目を集めているが、CO2排出地と貯留・活用地が離れていることが多く、CO2の安全で低コストの輸送技術の確立が普及に向けた課題となっている。

 今回、最適な温度・圧力条件で液化したCO2の出荷・輸送・受け入れまでの一貫輸送システムの確立に向けた研究開発と実証を行う。研究開発項目は「液化CO2の船舶輸送技術を確立するための研究開発」「年間1万t規模のCO2船舶輸送実証試験」「CCUSを目的とした船舶輸送の事業化調査」で、委託予定先は日本CCS調査、エンジニアリング協会、伊藤忠商事と日本製鉄。事業期間は今年度からの6年間、予算は160億円の予定だ。

 同事業では、まず長距離・大量輸送に適したCO2の液化・貯蔵システムと、輸送船舶の研究開発や設備機器の設計に必要な検討を行った上、2023年度末頃からは、京都府舞鶴市の石炭火力発電所で排出されたCO2を出荷基地で液化し、船舶での輸送を経て、北海道苫小牧市の基地で受け入れる一貫輸送システムの運用と操業に必要な技術を検証する。

 また、安全規格や設計基準の検討に必要な基礎要件を実証試験データから収集・分析し、液化CO2の長距離・大量輸送に求められる国際的なルール形成にも取り組む。さらに、CO2輸送に関する実効性あるビジネスモデルの検討も進める。

 NEDOは安全で低コストの船舶によるCO2大量輸送技術を確立し、CCUSの社会実装と2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく考えだ。

出光など カーボンリサイクルのビジネスモデル検討開始

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2020年12月3日

 出光興産など6社は2日、東芝研究開発センターが開発したCO2を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を活用するP2Cプロセスにより、排ガスなどからのCO2を「持続可能なジェット燃料(SAF)」に再利用する、カーボンリサイクルのビジネスモデル検討を開始することに合意したと発表した。

 今回、検討に参加したのは、出光興産、東芝エネルギーシステムズ、東芝、東洋エンジニアリング、全日本空輸、日本CCS調査の6社。今後、各社がもつ知見・技術、プラント設備などを生かし、SAFを供給するサプライチェーンの課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を共同で実施する。

 具体的には、産業設備の排出ガスなどから分離回収したCO2を原料として、再生可能エネルギーと水素を利用しSAFを製造、フライトまでの供給サプライチェーンの上流から下流まで、一気通貫した検討を行う。

 日本ではパリ協定に対するNDC(国が決定する貢献)で示したCO2排出削減目標の達成に向け、CO2の分離貯留や資源化、再生可能エネルギーの主力電力化や水素利用の拡大、燃料の脱炭素化などの環境イノベーションが期待されている。

 また、航空業界ではICAO(国際民間航空機関)がCORSIA(国際航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム)の中でCO2排出削減目標を定めており、効果的な削減手法の1つであるSAFを使用する運航に向け、その安定的製造・供給が強く求められている。高いCO2排出削減能力をもつP2Cプロセスは、CO2を原材料としてSAFを製造する次世代技術として期待が高い。

 各社は、持続可能な社会の実現を目指し、SAFサプライチェーンの将来ビジネスモデルについて共同で検討を進めていく。