東京工業大学と大阪公立大学の研究チームはこのほど、光・電子機能をもつ有機パイ電子系分子の超分子液晶の作製に成功し、大面積に塗布できる技術を開発した。
液晶材料は、その
2024年2月29日
2023年6月13日
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はこのほど、エヌエスアイテクスが、OTSL、日立製作所、東京工業大学と共同で、エッジコンピューティング領域における次世代組み込みシステム向けAI処理プロセッサー(DILP)を開発したと発表した。
2023年5月9日
2023年4月17日
2022年7月15日
2022年3月31日
2022年3月15日
2021年9月8日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、東京工業大学との研究チームがエッジ機器で高効率な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)推論処理を行うプロセッサーアーキテクチャーを開発し、大規模集積回路(LSI)を試作したと発表した。
今後、同技術の活用により、例えばスマートフォンの先進的な拡張現実(AR)アプリケーションやロボットの柔軟な動作制御など、電力供給量などの制約が厳しいエッジ機器でも高度なリアルタイムAI処理の単独での実行が期待できる。
従来の深く枝刈り(プルーニング)されたCNNの推論処理では、メモリへのアクセスが不規則になるため計算効率が低下するという課題があった。こうした中、NEDOと東工大の研究チームは、既存のCNNモデルを変形して高精度で高効率な処理ができる形式に変換するアルゴリズムを開発。さらに、このアルゴリズムを効率的に処理するための、入力データの平面シフトを扱う整形機構と直積型並列演算アレイを中核としたアーキテクチャーを提案した。
これにより試作LSIによる実測で、最大26.5TOPS/Wという世界トップレベルの実効効率を達成。今回の開発により、クラウド側で実行していた高度なリアルタイムAI処理をエッジ側で実行でき、AIサービスのプライバシー確保やクラウドへの通信量の削減などが期待できる。
研究チームは今後、同研究の試作チップで実証した技術をさらに発展させ、枝刈り後の精度向上のための学習技術や、RISC-V(リスクファイブ)プロセッサーなどとのシステムレベル統合技術の開発など、より高精度・高効率なニューラルネット推論チップの実現を目指し、スマートフォンやロボットなどのエッジ機器での高度なAIアプリケーションの実現を目指す。
2021年3月30日
宇部興産、港湾空港技術研究所、海洋研究開発機構、東京工業大学および東京海洋大学の研究グループはこのほど、深海インフラ構築に向けたセメント硬化体の力学特性の評価手法を確立し、実海域でのデータ計測を世界で初めて開始したと発表した。
深海でセメント硬化体の内部に生じる圧力やひずみを実際の深海底で連続計測することで、将来的に深海で使用するインフラ材料の開発や構造物の設計手法の構築に役立つことが期待される。なお同研究は、科学雑誌「ジャーナル・オブ・アドバンスド・コンクリート・テクノロジー」に掲載された。
同研究は、短期間および長期間の高水圧によって、セメント硬化体がどう変形するかを明らかにすることが目的。従来は、深海から回収した後の硬化体の変化を測定していたが、回収時の圧力変化により硬化体に変化が生じる可能性もあり、深海で起こった現象を正確に把握できなかった。また、深海と同等の高水圧の水槽を利用した実験でも、実際の構造物のスケールで起こりうる現象や潮流・生物付着などの影響が再現できない。
こうした中、研究チームは硬化体内部に生じる圧力やひずみを深海底で連続計測する方法を確立。これにより、深海で起こっている現象だけを抽出してデータを分析、考察することが可能となった。研究グループは、昨年7月に駿河湾沖70Kmに位置する南海トラフ北縁部、水深約3500mの海域に硬化体と計測装置を設置。今年度中に回収し、計測結果を解析する予定だ。
海洋国家の日本にとって、積極的な海洋利用は重要な課題の1つ。深海での海洋インフラの建設には、設計の自由度や汎用性が高いセメントの利用が検討されている。またセメントは、日本でほぼ100%自給できる石灰岩から製造され、安定的に供給できるというメリットもある。
これまで、深海の極限環境がセメント構造物にどのような影響を及ぼすか評価されていないが、最新の研究では、深海で著しく劣化したことが報告され、既存の知見や設計手法だけでは深海インフラを構築できないことが明らかになってきた。深海インフラの構築に向けて、まずは基礎データの収集が重要となっている。
2021年1月26日
東京大学と東京工業大学の研究グループはこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、東京大学大学院、大阪大学大学院らの研究グループと共同で世界初の高次トポロジカル絶縁体の実現を擬一次元積層物質の実験で明らかにしたと発表した。
高次トポロジカル絶縁体は、近年理論的に存在が予想された新しい量子相だ。結晶内部は絶縁体だが表面の特定の稜線が金属化し、スピンの向きのそろった電子が一次元で安定して流れる(スピン流)。電子の「電荷」と「スピン」の性質のうち、「電荷」を利用するのがエレクトロニクスだが、スピントロニクスは「電荷」と「スピン」の両方を活用する次世代省エネ技術の1つで、高性能ハードディスクなどに応用されている。原子層物質と呼ばれる薄いシート状物質を「積み木」のように積み上げることで、新奇な電気・磁気的性質を生み出せる。
トポロジカル絶縁体は結晶の表面全体が金属化するのに対し、高次トポロジカル絶縁体は試料の稜線だけが金属的であることが予想されていたが、三次元結晶では未確認だった。今回、トポロジカル原子層を自在に組み換えられる擬一次元ビスマスハライド(ヨウ素、臭素化物)に着目し、積層の取り方によって様々なトポロジカル量子相を実現できる物質設計指針を提案した。また、角度分解光電子分光法による電子状態の直接観測で、Bi4Br4(ビスマス臭化物)が世界初の高次トポロジカル絶縁体であることを実証した。
Bi4Br4は奇数番目と偶数番目の層が交互に180度反転しながら積み上がり、結晶表面には無数の階段構造が形成し1つ1つに稜線ができる。結晶内電子が感じる対称性が通常と異なるため、結晶の稜線だけが金属となり高次トポロジカル絶縁体状態となることが分った。また、稜線に沿って流れる電流の総量は大きいため検知できた。
今後、積層の取り方による物質設計指針により、従来のトポロジカル絶縁体とは異なる新奇な性質が見出だされることが期待される。また、接着テープなどで積層物質からトポロジカル性質の薄片を取り出せるため、省電力スピン流デバイスや量子計算デバイスへの応用が期待される。