東洋紡バイオテクノロジー研究財団 助成対象者を決定

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2019年3月4日

 東洋紡バイオテクノロジー研究財団はこのほど、平成30年度の研究助成の対象者を決定したと発表した。本年度はバイオテクノロジー分野の若手研究者7人に対し、総額3600万円の研究助成金を贈呈する。

 今月22日、東洋紡の本社で開催した贈呈式に留学を控えた2人が出席。津村準二理事長(東洋紡相談役)が目録を授与し、「助成金を活用し、皆さんが少しでも充実した留学生活を送ることで、バイオテクノロジーの発展に貢献する研究者となることを切に願っている」と、留学先での研究に向けて応援の言葉を贈った。

 贈呈式に出席した東京大学大学院医学研究科の根城尭英さんは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学する。研究テーマは「複合受容体システムを用いた次世代型の脳腫瘍免疫治療の開発」。「ゲノム解析の手法を腫瘍免疫の解析に応用する研究は世界でも盛んだが、留学を通して、それを臨床の場面にも生かしていきたい」と意気込みを語った。

 東京医科歯科大学生体材料工学研究所の松本大亮さんは、米スクリプス研究所に留学する。研究テーマは「人工塩基をもつmRNAから非天然アミノ酸への効率的な細胞内翻訳系の開発」。「4種類の塩基から構成される遺伝子の情報を拡張することで、新たな機能をもった薬剤の開発につなげ、今は解決法のない先天性疾患の治療に貢献したい」と抱負を語った。

 同財団は、東洋紡の創立100周年を記念して設立された研究助成団体。海外留学を助成する「長期研究助成」の受贈者は、今回を含めて201人を数え、バイオテクノロジーの研究や教育の第一線で活躍している。また、東洋紡のバイオ事業を遡ると、化学繊維の原料となるパルプの廃液処理研究にたどり着く。同研究が築いたバイオの礎が、その後同社の主要事業を担う診断薬用酵素や遺伝子解析技術へと発展していった。