JXTGエネルギーなど 水素の低コスト化へ、世界初の技術検証に成功

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2019年3月27日

 JXTGエネルギーはこのほど、千代田化工建設、東京大学、クイーンズランド工科大学(QUT)とともに、オーストラリアで有機ハイドライド(水素を貯蔵・運搬できる物質の一種)を低コストで製造し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証に成功したと発表した。

 同検証は、東京大学主催の水素サプライチェーン構築を目指す社会連携研究に、各工程に必要な技術と知見をもつJXTGエネルギー(有機ハイドライド電解合成技術)、QUT(高効率の追尾型太陽光発電システム)、千代田化工建設(水素取り出し技術)が参画して実施した。

 同検証の特徴は、水素の利活用拡大に不可欠な水素の低コスト化を実現するため、有機ハイドライド製造の工程を簡素化した点にある。

 従来、水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに貯蔵し、一旦有機ハイドライドの一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)に変換して運搬する必要があった。

 しかし、同検証では、水とトルエンから直接MCHを製造する「有機ハイドライド電解合成法」と呼ばれる製法を用いたことで、従来に比べ工程を大幅に簡略化することができた。将来的にはMCH製造に関わる設備費を約50%低減することが可能となる。

 さらに、MCH製造に必要な電力として、太陽光発電の電気を用いたことで、製造時にCO2を排出しない「CO2フリー水素」約0.2㎏の製造に成功した。

 今後は、水素社会の実現と地球温暖化の防止を目指し、同製法による「CO2フリー水素」製造技術の社会実装に向けた開発に取り組んでいく。