三菱製紙 高砂工場でセパレータを増設、22年4月に稼働

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2021年3月11日

 三菱製紙はこのほど、主にバッテリーセパレータの増産のために、高砂工場に湿式不織布生産設備を増設すると発表した。投資金額は約18億円で、営業運転開始は2022年4月を予定している。

 現在バッテリーセパレータは、同工場にある1台の湿式不織布抄紙機で生産しているが、この抄紙機ではバッテリーセパレータのほかにRO膜などの水処理膜用基材の生産も行っており、水処理膜用基材向けの需要拡大に伴い生産能力不足が課題になってきていた。

 一方、バッテリーセパレータも、日本、中国、韓国などを中心に需要が拡大。特に昨年のコロナ感染の世界的拡大によりリモートワークをはじめとするネットワークインフラ需要が旺盛となっており、加えて、自然エネルギー関連設備、自動車の電装化および電動化などの影響でセパレータを使用しているEDLC(電気二重層キャパシタ)や固体コンデンサの需要も拡大し、その傾向は今後も継続すると見られている。さらに、産業車両用に使用されるLIB用セパレータなど、長寿命と安全性が求められるLIBで使用されている不織布セパレータや、このLIB用セパレータの基材を利用した薄膜電磁波シールド用基材に関しても、需要の拡大が見込まれている。

 こうした中、同社は、新たに湿式不織布生産設備を増設し、薄く高精度が求められるバッテリーセパレータなどの薄型不織布の生産に特化させることを決定。既存の設備は主に水処理膜用基材の生産に使用する。これにより、それぞれの製品群での生産性向上と品質安定化を図り、今後の需要拡大に対応していく考えだ。