JSR ペプチドリーム社と特殊ペプチド共同研究を開始

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2019年9月24日

 JSRは20日、ペプチドリーム(神奈川県川崎市)と、抗体医薬品などのバイオ医薬品の精製過程で行われるアフィニティクロマトグラフィーに適用可能な特殊ペプチドの共同研究を開始することで合意したと発表した。

 アフィニティクロマトグラフィーとは、クロマトグラフィー担体に固定された特異的なリガンドと、目的のタンパク質との可逆的な吸着反応を利用して分離・精製する技術で、特異的なリガンドとして現在は組み換えプロテインA、G、Lなどが使われている。

 今後、ペプチドリームがもつ創薬開発プラットフォームシステム「PDPS」を用いて、種々の目的タンパク質に可逆的・特異的に吸着しアフィニティクロマトグラフィーに適用可能な特殊ペプチドの探索を行い、JSRがもつアフィニティクロマトグラフィーに関する様々な知見や豊富な実験データを組み合わせ、両社で新たなアフィニティクロマトグラフィー担体の開発を目指す。

 医療現場で広く使われている抗体医薬品などのバイオ医薬品製造は主に、CHO細胞などを培養し目的とするタンパク質を作る工程と、その産生細胞を除去し、多くの不純物が含まれる中から目的タンパク質を精製する工程に分類される。

 この精製に用いられるクロマトグラフィーは、プロテインAなどのタンパク質リガンドを使うアフィニティクロマトグラフィーを始めとして、イオン交換クロマトグラフィー、その他種々のクロマトグラフィーが目的に応じて使用されている。

 特殊ペプチドと新たなクロマトグラフィー担体の開発・商品化により、①化学合成特殊ペプチドは従来のタンパク質リガンドと比べ、均一な品質のリガンドをより安定的に大量製造できるなどの特徴を生かして、バイオ医薬品精製プロセスの簡便化・低コスト化に貢献する②物理的に小さい特殊ペプチドをリガンドとすることで、精製効率そのものを向上させる③これまでアフィニティクロマトグラフィーでは精製が難しかったバイオ医薬品の精製が実現できるなど、バイオ医薬品精製プロセスの簡便化・低コスト化を目指す。