ランクセス 試作用金型開発、難燃性プラの成形課題再現

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2021年9月27日

 ランクセスはこのほど、難燃性ポリアミドおよびポリエステルコンパウンドの射出成形中に直面する典型的な課題を再現した、電気・電子産業向け部品の試作用射出成形金型を開発した。

 ハイパフォーマンスマテリアルズ・ビジネスユニットのカタリーナ・シュッツ氏は「この金型を使用することで、新しい難燃剤と加水分解安定化剤の現実的な分析を行う。当社の目的は、製品開発段階でも必要に応じて処方を適用できるように、事前に特殊な加工特性を特定することだ。そして、当社の難燃性プラ加工業者に、量産のための特定処理の推奨事項を提供したい」と述べている。

 難燃性を備えた熱可塑性樹脂の多くは、添加剤が使用されているため、標準製品よりも加工範囲が狭まるが、「この試作用金型により、これらの課題を実用的な方法で再現し、改善方法を見つけられる」と強調した。

 今回開発した射出成形金型は、異なる用途の様々な側面を一体化した、高機能で、筐体のようなデモンストレーション部品。同ユニットの電気・電子アプリケーション開発者であるサラ・ルアーズ氏は、「機械的、電気的、および難燃性のテストにも使用でき、様々なプロセスパラメータや実際の形状に応じて材料の性能を評価できる」と述べている。

 プロジェクトパートナーを対象としたこれらのサービスは総合サポートサービス「HiAnt」の一部。このサポートは、コンセプト設計、材料の最適化、機械・レオロジー的シミュレーションから量産の開始まで、アプリケーション開発のすべての段階を網羅している。

 一方、同ユニットでは効果的なサポートを提供するため常にプロセスツールを拡張しており、今後は樹脂・金属ハイブリッド部品の試作金型も稼働させる予定。ルアーズ氏は、「オーバーモールドされた金属の挿入を特徴とするプラスチックコンポーネントは、大きな温度変動にさらされると、応力亀裂を受けやすくなる。新しいハイブリッド金型を使用して、材料の耐亀裂性を調査し改善したい」と述べている。また材料、コンポーネントの形状、プロセスパラメータなどの要因に応じて応力亀裂を予測するシミュレーションモデルの検証も計画している。