産総研 超広帯域発光素子を開発、明るさと長寿命実現

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2020年2月12日

 産業技術総合研究所(産総研)は小型ハロゲンランプをしのぐ明るさと、1000時間以上の長寿命性を併せ持つ超広帯域発光素子を開発した。この発光素子は350㎚の近紫外線から1200㎚の近赤外線までの波長範囲の光を発光できる。

 この発光波長範囲は、広く利用されている光センサーや撮像素子(CCDなど)が感じることができる範囲(感光域)とよく一致しており、それら「機械の眼」にふさわしい効率の良い光源と言える。

 様々な方式による広帯域発光素子の開発が世界的に行われている中で、今回開発した素子は、紫外LEDと、そのLEDの光で励起され、さまざまな波長の光を発する複数の蛍光体を組み合わせて作製した。蛍光体を取り巻くバインダー材料や蛍光体層の物理的構造を改良することによって、実用製品に適用できる明るさ(発光強度)と安定性(寿命)を実現した。

 その結果、小型のハロゲンランプを光源とする超小型計測器や分析機器、例えば、鮮魚や精肉の脂乗りを分析するポータブル分析機器や、果実の糖度を非破壊で計測する機器などの上位互換の代替光源として使用できるようになった。この新たな光源素子の登場が引き金となり、従来の光源では実現できなかったパーソナルヘルスケア用の小型光センサーなど、新しい製品群の創出が期待される。

 今後、さらなる発光強度向上や安定性の向上に関する基礎研究を加速させるとともに、実用に向けたプロセス技術の開発を推し進め、より多くの目的に応える素子の開発やカスタマイズを進める。また、連携パートナーを募り、量産技術の開発や適用製品開発も行う。