コベストロ 新素材がトヨタのEVコンセプトカーに採用

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2020年3月2日

 コベストロジャパンはこのほど、トヨタ紡織と共同開発した新素材が、トヨタ自動車の電気自動車(EV)コンセプトカー「LQ」に採用されたと発表した。

トヨタ「LQ」
トヨタ「LQ」

 新素材はコベストロの「Advanced Baypreg F NF」の技術と、トヨタ紡織のケナフ繊維の技術を日本で進化させて共同開発した軽量ケナフ繊維強化ポリウレタンコンポジットで、「LQ」のドアトリムに採用されたことで、世界初披露となった。

 EVの普及拡大が見込まれる未来のモビリティで軽量化素材が果たす役割は、これまで以上に重要になることが予想されている。コベストロは世界の自動車産業に向けて長期にわたり革新的な素材を提供してきた。日本市場でも、日本の研究開発拠点であるイノベーション・センター(兵庫県尼崎市)で、自動車の軽量化に貢献する低密度ポリウレタンフォームなど、数多くのサステナブルなソリューションを開発している。

 今回の新素材に使用されているケナフはアオイ科の植物で、東南アジアやバングラデシュ、インド、アフリカなど多くの地域で栽培されてきた。

 ケナフの特徴は成長速度が速く、短期間で多くの繊維を収穫できること。低価格であるだけでなく、機能性が高いという点で近年注目を集めている。植物バイオマスは代替原料として、自動車業界からの関心がますます高まっている。

 今回開発したケナフ繊維強化ポリウレタンコンポジットは、必要な実用強度を持つ基材として、世界で初めて1kg/㎡を切る画期的な材料であり、この複合材を使うことで、従来のドアトリム材に比べ30%以上の軽量化を実現した。材料が軽ければ軽いほど、1回の充電または給油での車の航続距離を伸ばすことが可能になる。共同開発はトヨタ紡織との強い連携の下、2019年9月にリニューアルしたイノベーション・センターで行われた。

 住化コベストロウレタン・ポリウレタン事業本部の井戸博章・自動車材料開発部長は、コベストロが推進するサーキュラー・エコノミーと、代替原料の活用を実現する好例を、日本のイノベーション・センターから提供することができたことを強調した上で「トヨタ紡織との新規開発は、特に軽量でサステナブルな自動車のデザインに大きな貢献ができると思う」と述べている。