凸版印刷 CNF使用の飲料向け紙カップを開発、プラを大幅削減

, , ,

2020年4月9日

 凸版印刷はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)を用いた飲料向け紙カップで、高いバリア性と密閉性を持つ「CNFエコフラットカップ」を開発した。4月よりサンプル出荷を開始する。

 「CNFエコフラットカップ」のサンプル」
「CNFエコフラットカップ」のサンプル」

 CNFは、紙の原料となる木の繊維をナノオーダーにまで微細化したバイオマス素材。「軽くて強い」「熱変形が小さい」などの特長があり、自動車や家電、塗料、繊維などさまざまな分野で新素材として期待されている。

 同社は、日本製紙グループとともに性能改善に取り組みCNFをコーティングした原紙を開発。今回、その原紙を使用することでカップに高いバリア性を付与した。

 さらに凸版印刷の高度な成型技術を生かし特殊加工を施した完全密閉構造により、商品の長期保存化を実現。これにより、今まで固形食品用途にしか使用できなかったCNFを用いた紙カップを、飲料などの液体用途としても使用できるようになった。

層構成例
層構成例

 また、従来の飲料向けプラスチックカップと比較して、プラスチック使用量を約50%削減することが可能となり、さらにバイオ素材であることからCO2排出量を約20%削減する。

 価格については、従来の飲料向けプラカップとほぼ同等の価格を実現。同製品を飲料メーカーや流通企業などに向けて拡販し、CNFを用いた紙容器全体で2023年度に約5億円の売上を目指す。

 同社は今後も、CNFを用いた新たな紙容器の開発を推進していく考えだ。