ENEOSの3Q決算 在庫影響除き営業利益は大幅減

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2021年2月12日

 ENEOSホールディングスが10日に発表した、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)によると、売上高は前年同期比29%減の5兆3672億円、営業利益40%減の1338億円、純利益46%減の670億円。なお、在庫影響を除いた営業利益相当額は、41%減の1609億円だった。 

 同日にオンラインで開催した決算説明会で、田中聡一郎常務執行役員は在庫影響除き営業利益の減益要因に触れ、「新型コロナウイルスによる影響では、具体的には石油製品の販売の減少や原油価格低迷による石油・天然ガス開発事業での減益、チリ・カセロネス銅鉱山での人員抑制による生産量減少などの影響があった」と説明。これに加え、コロナ影響を踏まえた採掘計画見直しによるカセロネス銅鉱山の減損損失の計上、中国石油国際事業日本と合弁事業を行っていた大阪製油所を停止し、千葉製油所に変更したことに伴う一時的な損失などを主な悪化要因に挙げた。

 一方、良化要因としては、国内石油製品マージンが堅調に推移したことや、テレワークの普及などによる通信需要の増加に伴う電子材料の増販、コロナ対応をはじめとした経費削減が寄与した。

 営業利益の減益幅をセグメント別で見ると、エネルギー事業は前年同期との比較で340億円減(在庫影響除き)、石油・天然ガス開発事業は335億円減、金属事業では558億円減(在庫影響除き)となり、中でも金属事業の不振が響く形となった。金属事業は、データ通信需要の増大に伴う機能材料・薄膜材料の販売数量増加と銅価上昇による良化はあったものの、カセロネス銅鉱山の減損損失(694億円減)や生産量減少により減益幅が拡大した。

 こうした中、今年度の通期業績予想については、在庫影響除き営業利益1900億円(在庫影響含み2000億円)の計画を据え置いた。田中常務によれば、カセロネス銅鉱山の減損損失や、卸電力市場価格の高騰に伴う電力事業の悪化(約200億円)を、カセロネス銅鉱山の権益追加取得に伴う債務消滅益(約600億円増)や、堅調な国内石油製品マージン、好調な電子材料の増販で補えるとの見通しから、前回公表値と同レベルになると見込んでいる。

チッソの4-12月期 減収も利益項目は改善傾向に

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2021年2月10日

 チッソは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比12%減の959億円、営業利益23億円(同30億円増)、経常利益20億円(同31億円増)、純損失21億円(同65億円改善)となった。

 セグメント別に見ると、機能材料事業は減収。液晶材料は巣籠り需要が継続しており、足元では大型テレビやIT関連ディスプレイ用途を中心に販売は堅調となったが、4-6月期における需要減少の影響からの復調には至らなかった。シリコン製品は、コンタクトレンズ用途を中心に需要が好調に推移し販売が増加した。

 加工品事業は減収。繊維製品は、国内における除菌シート、マスクなどのコロナ対策関連の需要が引き続き堅調に推移したことに加え、衛生材料向けの出荷が安定的に推移したことから、原綿および不織布の販売が増加した。肥料は、施肥作業の省力化が評価されている被覆肥料の国内出荷が堅調となったが、顧客の在庫調整により化成肥料の出荷が低調となったほか、コロナ影響を受けて海外需要が落ち込んだ。

 化学品事業は減収。オキソアルコールは、原料ナフサ価格の下落により販売価格が低下したことに加え、大型定修の実施により出荷が減少した。一方、コロナ対策関連の需要が堅調となり、治療薬やワクチン製造向けに一部製品の販売が増加した。ポリプロピレンは、足元では主力の自動車関連の需要が回復基調となった。ポリエチレンは、主にレジ袋有料化の影響によりフィルム用途の需要が減少した。

 商事事業は減収。主力のポリプロピレンの販売がコロナ影響を受けた。電力事業は増収。FIT活用に向けた既存水力発電所の大規模改修工事を引き続き推進し、安定した収益基盤の強化に注力した。また、一部の水力発電所は、「令和2年7月豪雨」による被害から完全復旧に至らず低稼働運転となったが、その他の各発電所は順調に稼働した。その他事業は減収。エンジニアリング事業は、前年の反動により売上は減少したが、新規案件の受注は好調に推移した。なお、通期業績予想については見直しを行っていない。

 

出光興産の4-12月期 在庫評価損などで減収減益

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2021年2月10日

 出光興産は9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比30%減の3兆2113億円、営業利益54%減の493億円、経常利益84%減の146億円、純損失75億円(同724億円減)となった。

 セグメント別に見ると、燃料油は減収減益。原油価格下落に加え、コロナ影響による販売数量の減少などにより減収となり、製品マージン改善や燃料費減少などの増益要因を、在庫評価損の拡大や販売数量減少などの減益要因が上回った。

 基礎化学品は減収・営業損失。通関ナフサ価格が下落したことなどで減収となり、スチレンモノマーやパラキシレンなど製品マージンが縮小し減益となった。

 高機能材は減収減益。潤滑油事業で販売数量が減少した。電力・再生可能エネルギーは減収・営業損失。ソーラー事業で販売数量が減少し販売単価も下落した。資源は減収減益。石油開発事業は原油価格が下落した。石炭・その他事業は石炭価格が下落した。

 なお同日、通期業績予想について修正を発表。売上高4兆5000億円(前回予想比2000億円増)、営業利益950億円(同600億円増)、経常利益570億円(同590億円増)、純利益150億円(同350億円増)を見込む。売上高は、ドバイ原油を42.4ドル(同38.4ドル)と上昇を想定し増収となり、営業利益および経常利益は在庫評価損の減少と燃料油セグメントにおける経費減で増益となる。純利益は、増益要因はあるものの資源事業などにかかる特別損失を織り込んだ。

東レの4-12月期 減収減益も通期予想は上方修正

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2021年2月10日

 東レは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比14%減の1兆3642億円、事業利益36%減の670億円、営業利益64%減の362億円、純利益63%減の279億円となった。新型コロナの感染拡大による生産活動・消費行動の停滞に加え、国際的なサプライチェーン分断による経済混乱で、大幅に落ち込んだ。また米国子会社の減損損失を計上した。

 事業分野ごとに見ると、繊維事業は減収減益。国内外の生産活動・消費行動停滞の影響で、衣料用途は各国のロックダウンや過剰な流通在庫で需要が低迷し、産業用は一般資材用途が低調に推移した。医療用白衣地やマスク用の不織布需要の増加と自動車関連の回復の動きが見られたが、総量の減少はカバーできなかった。

 機能化成品事業は減収増益。樹脂事業は生産活動停滞の影響を受けたが、第3四半期には自動車と中国経済の回復で好調に推移。ケミカル事業は基礎原料市況が回復傾向だ。フィルム事業はLIB用セパレータフィルムが市況価格低下の影響を受けたが、ポリエステルフィルムは光学用途や電子部品関連で好調に推移。電子情報材料事業は回路材料は低調だったが、第3四半期は有機EL関連の需要が増えた。

 炭素繊維複合材料事業は減収減損。一般産業用では風力発電翼用途が堅調だったが、航空宇宙用途は民間旅客機のビルドレートの減少が影響した。

 環境・エンジニアリング事業は減収増益。水処理事業は一部地域への出荷に新型コロナの影響があったが、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調。国内エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置は減少したが、建設子会社の大型工事案件進捗や不動産物件の完工で収益計上した。

 ライフサイエンス事業は減収増益。医薬事業は経口そう痒症改善薬が後発医薬品発売と薬価改定の影響を受けた。医療機器事業は医療機関での不急手術先送りの影響がある中、ダイアライザーは国内外で堅調だった。

 なお、通期業績予想は、業績動向と事業環境などを踏まえ、売上収益を前回発表比100億円増の1兆8700億円、事業利益を同100億円増の900億円、純利益を同50億円増の390億円に上方修正した。

三井化学の4-12月期 減収減益も市況高などで収益改善

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2021年2月10日

 三井化学が9日に発表した、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比15%減の8574億円、コア営業利益は13%減の522億円、純利益は7%増の330億円だった。

中島一取締役常務執行役員CFO
中島一取締役常務執行役員CFO

 同日にウェブ開催した決算説明会で、中島一取締役常務執行役員CFOは今期までの状況について、「上期(4-9月期)ではコロナの影響による需要の鈍化に加え、基盤素材はナフサ価格の下落に伴う在庫評価損の影響を受けた。しかし、3Q(10-12月期)になると、

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旭化成の4-12月期 マテリアルの改善が顕著

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2021年2月10日

半導体工場火災で特損計上、純利益は下方修正に

柴田豊副社長

 旭化成は9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%減の1兆5367億円、営業利益8%減の1295億円、経常利益9%減の1323億円、純利益23%減の800億円となった。同日開催されたオンライン会見の中で、柴田豊取締役兼副社長執行役員は、「10-12月は前年同期比で増収増益となった。マテリアルセグメントで自動車関連の市場や石化製品市況が回復し、住宅セグメント、ヘルスケアセグメントも上期から好調さを維持した」としたが、

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帝人の4-12月期 自動車を中心に回復傾向が継続

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2021年2月9日

 帝人は8日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比6%減の6097億円、営業利益6%減の452億円、経常利益10%減の429億円、純利益11%減の268億円となった。電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高はコロナ下で医療用防護具の供給拡大による売上貢献があった一方、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減、 “帝人の4-12月期 自動車を中心に回復傾向が継続” の続きを読む

クレハの4-12月期 増収減益だが通期予想は上方修正

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2021年2月8日

 クレハは5日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比微増の1057億円、営業利益44%減の146億円、税引前利益43%減の149億円、純利益43%減の118億円となった。機能製品事業の販売回復の兆しなどで売上げは前年並み。原燃料価格の低減と新型コロナ感染拡大に伴う活動経費の縮小でセグメント営業利益は増加したが、前年同期計上の本社別館の土地売却益93億円のため減益となった。

 セグメント別にみると、機能製品事業は減収減益。機能樹脂分野は、PPS樹脂とシェールオイル・ガス掘削用途向けPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は減収だが、リチウムイオン二次電池用バインダー用フッ化ビニリデン樹脂の増加で増収。PGA事業の損失増加と持分法適用の米国合弁事業の利益減少などで減益。炭素製品分野は、自動車部品用摺動材と高温炉用断熱材向け炭素繊維の売上減少で、減収減益となった。

 化学製品事業は増収増益。医薬・農薬分野は、慢性腎不全用剤が減少したが、農業・園芸用殺菌剤の売上増により増収増益。工業薬品分野は、無機・有機薬品類の売上減少で減収減益だった。

 樹脂製品事業は減収増益。コンシューマー・グッズ分野は、家庭用ラップとフッ化ビニリデン釣糸の売上増で増収増益となり、業務用食品包装材分野は、熱収縮多層フィルムなどの売上減少と、前年度のブローボトル事業の譲渡により減収減益だった。

 建設関連事業は減収増益。建設事業は、公共工事の増加と民間工事の中止や延期の結果、営業利益は前年同期並みだった。

 その他関連事業は増収増益。環境事業は、産業廃棄物処理と処分の増加で、増収増益となった。運送事業は売上、営業利益とも前年同期並み。病院事業は売上が減少し、営業損失が増加した。

 なお、通期連結業績予想を上方修正した。LiB用バインダー向けフッ化ビニリデン樹脂と環境事業の増加、販売費と一般管理費の減少などで、売上収益は20億増の1400億円、営業利益20億増の165億円、税引前利益25億増の170億円、純利益18億増の133億円を見込んでいる。

 

デンカの4-12月期 減収増益で過去最高益

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2021年2月8日

 デンカは5日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比9%減の2620億円、営業利益17%増の280億円、経常利益20%増の273億円、純利益13%増の189億円となった。成長分野製品の伸長や固定費の削減などで、営業利益と経常利益は第3四半期連結累計期間として過去最高だった。

 セグメント別にみると、エラストマー・機能樹脂部門は減収減益。クロロプレンゴムは回復傾向に転じたが減収、MS樹脂はTVやモニターの導光板用途などで堅調だが、スチレンモノマー、ポリスチレン樹脂、MS樹脂の原材料価格の下落に応じた販売価格の見直しで減収減益となった。クロロプレンゴムの需要回復が続くと見込むが、通期では減益の見通し。

 インフラ・ソーシャルソリューション部門は減収減益。農業・土木用途のコルゲート管は堅調だが、セメントや特殊混和材、肥料、耐火物・鉄鋼用材料の販売は感染症と天候不順の影響で減収減益。第4四半期も価格の維持やコスト抑制に努め、通期での営業黒字を目指す。

 電子・先端プロダクツ部門は増収増益。5G関連やデータセンターの需要拡大で電子部品・半導体搬送用部材の高機能フィルムや半導体封止材向け溶融シリカフィラーが堅調、xEV関連の球状アルミナ、高純度導電性カーボンブラックが伸長し、増収増益となった。xEVと半導体関連製品の好調継続を見込み、通期では増益の見通しだ。

 生活・環境プロダクツ部門は減収増益。プラスチック雨どいと合繊かつら用原糸、工業用テープは回復基調だが数量は前年割れ。一方、テイクアウト需要の増加で食品包材用シートとその加工品の堅調な販売に加え、原材料価格下落や固定費削減が増益に寄与した。原材料価格上昇の恐れもあるが通期では増益の見通しだ。

 ライフイノベーション部門は増収増益。インフルエンザ診断キットの出荷は前年割れだが、インフルエンザワクチンの増販と新型コロナウイルス抗原迅速診断キットの販売開始で増収増益。通期でも抗原迅速診断キットの寄与などで増益を見込む。その他部門は減収だった。なお、通期の連結業績予想の変更はない。

JSRの4-12月期 エラストマーの損失響き減収減益

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2021年1月26日

 JSRは25日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比12%減の3168億円、コア営業利益48%減の161億円、営業利益59%減の126億円、純利益65%減の67億円となった。決算会見において宮崎秀樹取締役常務執行役員は、「全体として計画対比では強い進捗となり、コア営業利益は82%の進捗率となった。デジタルソリューションは、半導体材料を中心に好調に推移した。エラストマーと合成樹脂は、10-12月期の自動車およびタイヤ向け需要の回復により改善した」と総括した。

 デジタルソリューション事業は増収増益。ディスプレイ材料とエッジコンピューティング材料の販売数量が減少したが、半導体材料が販売数量を伸ばしたことにより増収となった。コア営業利益は半導体材料の販売数量の増加により前年同期を上回った。

 ライフサイエンス事業は増収減益。CRO事業(医薬品の開発支援事業)等の販売拡大により増収となったが、コア営業利益は先行投資の増加及び前年同期に発生した一時的収益の影響により減益となった。

 エラストマー事業は減収・コア営業損失。新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要低迷により販売数量は前年同期を大幅に下回り、売上収益も大幅な減収となった。コア営業利益は、販売数量の大幅な落ち込みにより127億円の赤字となった。S‐SBRについては、上期は販売数量が同期比25%減だったが、4-12月期では同期比で15%減まで改善している。ハンガリー工場も、昨年12月から出荷を開始しており、「今後の販売増に期待している」と語った。

 合成樹脂事業は減収減益。新型コロナの影響による需要低迷により販売数量の減少に伴い、売上収益、コア営業利益とも前年同期を大幅に下回った。

 なお、通期業績予想については前回発表を据え置いている。また同日、社外取締役候補者に投資会社であるバリューアクトのデイビッド・ロバート・ヘイル氏を選任したと発表。その狙いについて宮崎常務は、「ヘイル氏が持つ国際性や知見などにより、当社の企業価値の向上につながる」と語った。