富士フイルム富山化学 国内初のリポソーム製剤工場竣工

, , ,

2019年12月11日

 富士フイルム富山化学はこのほど、富山第2工場内に、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤の新工場(701工場)が竣工したと発表した。701工場は、国内で初めて商業生産に対応したリポソーム製剤工場で、来年2月の稼働を予定している。今後、同社は、701工場にてリポソーム製剤の治験薬製造や商業生産を行っていく。

 リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包した製剤で、有効成分を効率的に患部に届け薬効を高めることができると期待されている。今回竣工した701工場は、富士フイルムグループのリポソーム製剤の中核生産拠点で、日・米・欧のGMP基準に対応しているため、グローバルにリポソーム製剤を供給することが可能だ。

 701工場は富士フイルム富山化学が注射剤の無菌製造で蓄積してきた生産ノウハウ、富士フイルムが幅広い製品開発で培ってきた高度な生産技術などを活用して設計・開発した製造設備や封じ込め設備を導入。均一なサイズに設計したリポソームに目的の薬剤を安定的に内包した、高品質なリポソーム製剤を生産することができる。

 今後、富士フイルム富山化学は、701工場で富士フイルムが研究開発を進めている抗がん剤「FF‐10832」「FF‐10850」、さらには核酸医薬品や遺伝子治療薬などの治験薬製造や商業生産を展開していく。また、701工場を活用して、他社からリポソーム製剤の生産プロセス開発・製造受託を行い、ビジネス拡大を図っていく。富士フイルム富山化学は、高付加価値な医薬品の開発・製造・販売を通じて、医療のさらなる発展に貢献していく考えだ。