帝人 CFRTP採用の軽量エアバス機が羽田に初飛来

, ,

2019年6月21日

 帝人が開発した、炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板「テナックスTPCL」を使用したエアバス社の最新鋭中型機「A350XWB」が、11日にエアバス社トゥールーズ工場で日本航空(JAL)に納入され、14日に羽田空港に初飛来した。帝人は、エアバス社製の航空機材に向けて30年以上にわたり炭素繊維「テナックス」を供給しているトップサプライヤーだ。

帝人『テナックス TPCL』を一次構造材に使用したエアバスA350XWB TOP
『テナックス TPCL』を一次構造材に使用したエアバスA350XWB

 「A350XWB」向けには2014年5月に、「テナックスTPCL」が熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)として世界で初めて、エアバス社製航空機の一次構造材に採用された。

 「テナックスTPCL」は、耐衝撃性や耐摩耗性に優れるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を使用したCFRTPで、同社の欧州拠点である独・帝人カーボンヨーロッパで製造されている。

 帝人は、未来の最新鋭航空機に向けたソリューションとして、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性・熱硬化性樹脂を使用した中間材料などの用途開発やラインアップ拡充、また、これらを活用した市場展開を強力に推進している。

 今後もマーケットリーダーとして、川上から川下までのソリューション提案力を一層強化し、環境規制の強化に伴う低燃費化の要請に応える「軽くて、強い」高機能素材の拡大展開を図る考えだ。

 今回納入されたJAL機は、日本の伝統美をテーマにしたインテリデザインで統一した、座席数369席の中型機。9月1日の東京(羽田)―福岡線からの運航開始を予定している。

帝人 GM新型ピックアップトラックにCFRTPが採用

, ,

2019年5月9日

 帝人はこのほど、同社が展開する熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)製品である「Sereebo(セリーボ)」が、米国ゼネラルモーターズ(GM)のピックアップトラック2車種に採用されたと発表した。

GMC シエラ・デナリ1500
GMC シエラ・デナリ1500

 同製品が使用されるのは、GMが今年の夏から市場展開を開始するピックアップトラック「GMC シエラ・デナリ1500」と「GMC シエラAT4 1500」のピックアップボックス(荷台)「カーボン・プロ」で、CFRTPが量産自動車の構造部材に使用されるのは世界で初めてのことになる。

 帝人が開発した「セリーボ」は、熱可塑性樹脂を使用し、世界で初めて製造タクトタイムを約1分にまで短縮したことにより、自動車部品などの量産対応を可能にした革新的なCFRTP。

 一方、「カーボン・プロ」は、帝人がGMと共同開発したピックアップボックスで、ポリアミド系樹脂を母材として、炭素繊維をランダムに分散させた「セリーボ」シリーズの製品を荷台内側のパネル部分に使用している。

 「セリーボ」を用いることで、成形時間の大幅な短縮を実現したほか、スチールを使用したピックアップボックスに比べて約40%の軽量化を実現するとともに、約10倍の耐衝撃性を有し、耐腐食性にも優れている。また、従来の素材では量産できなかった複雑なデザインの成形にも対応でき、リサイクルも容易だ。

 なお、「セリーボ」を用いた「カーボン・プロ」の荷台内側部分は、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を展開するコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)のハンティントン工場(インディアナ州)で製造される。

 帝人はTier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化やグローバル安定供給体制の確立を図るとともに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向けた提案力強化のため、使用材料の拡充や他メーカーとの協業などを進め、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化していく。

 さらに、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。