ENEOS 日豪間CO2フリー水素SC構築で協業検討

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2021年9月16日

 ENEOSはこのほど、豪州の大手総合エネルギー企業・オリジン社と、日豪間のCO2フリー水素サプライチェーン(SC)構築に向けた協業検討の実施を決め、両社で覚書を締結したと発表した。 

CO2フリー水素サプライチェーンの全体像
CO2フリー水素サプライチェーンの全体像

 協業検討は同国のクイーンズランド州で実施し、両社は安価で安定的な再生可能エネルギー電力由来の水素の供給可能性について検証を進めていく。具体的には、オリジン社は再エネ電力の安定供給と水素を製造する水電解槽について、ENEOSは水素の貯蔵・輸送形態の1つであるメチルシクロヘキサン(MCH)の効率的な製造と日本への海上輸送についての検討を行う。

 クイーンズランド州は、太陽光発電を中心とする再エネ電源の開発が進む地域。同州政府は、これらの再エネ電力を活用した水素産業の振興に積極的に取り組んでおり、独自の水素産業戦略の下、州内の水素事業を支援する「水素産業開発ファンド」をいち早く設立し、州全域での大規模な水素事業専用開発エリアの整備などを行っている。加えて、石炭やLNGなどの在来型資源用の設備として使われている既存の貯蔵タンクや出荷設備、桟橋、港湾は水素の輸出用インフラとして活用できるメリットもある。

 なお、今回の検討にあたっては、日本政府のグリーンイノベーション基金や豪州の水素ハブ構想など、日豪政府による政策支援の活用についても両社で検討を進め、日豪CO2フリー水素SCの社会実装を早期に実現することを目指す。

ENEOS CO2フリー水素SC構築へ、調査事業開始

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2021年8月20日

 ENEOSはこのほど、CO2フリー水素サプライチェーン(SC)構築を目指し、「東京湾岸エリアにおける水素利活用調査事業」と「むつ小川原地区における水素地産地消モデル調査事業」を実施すると発表した。

 ENEOSは脱炭素に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据え、国内外でCO2フリー水素SC構築に取り組んでいるが、今回その一環として、同社製油所を起点とした水素利活用調査事業と、水素キャリアである有機ハイドライド(MCH:メチルシクロヘキサン)を利用した水素地産地消モデル調査事業を実施する。

東京湾岸エリアでのCO2フリー水素サプライチェーンの全体像

 東京湾岸エリアでは、川崎臨海部を中心とする東京湾岸エリアでCO2フリー水素供給モデル構築を目指した調査を行い、製油所をCO2フリー水素受け入れ・供給拠点と想定し、既存パイプラインを活用した大規模水素需要家への効率的な水素供給モデルの構築を検証する。具体的には、川崎市と連携し、既存パイプラインの調査や当該エリア立地企業へのヒアリングを行い、既存設備の有効活用と水素パイプラインの拡充に対する課題を整理していく。

むつ小川原地区と東北エリアでのCO2フリー水素サプライチェーンの全体像

 一方、むつ小川原地区では、再生可能エネルギーを利用したCO2フリー水素の地産地消モデル構築に向け、MCHを利用して再エネが豊富な同地区と同地区外での水素需要の拡大を目指す。具体的には、同社独自の水素エネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用し、同地区の再エネから効率的にCO2フリー水素を製造しMCHに変換するプロセスについて検証する。 また、東北地方の製油所や発電所などの大規模水素需要家へのMCH供給と石油備蓄タンクへのMCH貯蔵についても検証する。

ENEOSのCO2フリー水素サプライチェーン構築に向けた取り組み

 なお、両調査事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/水素製造・利活用ポテンシャル調査」の委託先として採択された。