NEDO 発電とCO2回収を一体化、コスト低減を図る

, ,

2020年12月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、発電とCO2分離・回収プロセスを一体化したシステムの研究開発として、「多様な燃料を利用するCO2回収型ポリジェネレーションシステム基盤技術開発」と、「CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」の2件のテーマを採択した。

 発電システムに燃料をガス化するプロセスを統合し、CO2の分離・回収までを一体化することでエネルギー効率を向上させ、CO2の分離・回収コストの低減に取り組む。併せて、発電燃料には石炭やバイオマス、炭素系廃棄物(廃プラスチックなど)を利用し、水素や化学品といった有価物を併産するポリジェネレーションシステムの構築にも取り組む。これにより、システムの経済性を高めてCO2分離・回収コストの低減につなげるだけでなく、中小規模発電を含めた実用化・事業化も視野に入れることができる。

 一方、出力が安定しない太陽光や風力のような再生可能エネルギーの活用を増やすには、需要と供給の不均衡を防ぐ電力需給調整が重要となる。このため同事業では、電力需給調整力をポリジェネレーションシステムに包括することも検討する。同事業によりCO2分離・回収コストを現状のCO2 1t当たり4000円程度から1000円台にまで低減する発電技術の確立を目指す。そして、将来のカーボンリサイクル技術の実用化につなげていくことで脱炭素社会の実現に貢献する。

 なお、今回の事業名は「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2分離・回収型ポリジェネレーションシステム技術開発」。期間は2020~2024年度で、全体予算は30億円程度となる。

本事業で研究開発するポリジェネレーションシステムのイメージ
本事業で研究開発するポリジェネレーションシステムのイメージ