三菱ケミカルホールディングス 植物肉を開発するスタートアップに出資

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2021年9月6日

 三菱ケミカルホールディングスは3日、発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するスタートアップのDAIZ社(熊本県熊本市)に出資したと発表した。

提携したDAIZ社
提携したDAIZ社

 DAIZ社は、丸大豆を主原料として、独自の技術により肉に近い味と食感の再現、大豆特有の異風味の低減を実現した「ミラクルミート」を開発。国内を中心に多くの食品メーカーや外食チェーンなどで採用が拡大している。

丸大豆を主原料とした植物肉「ミラクルミート」
丸大豆を主原料とした植物肉「ミラクルミート」

 近年、地球温暖化の問題からGHG(温室効果ガス)削減が求められているが、牛などの畜産動物が排出するCO2や腸内ガス(メタン)が大きな割合を占めている。これに対し、植物由来の代替肉は環境負荷の少ないタンパク源であり、世界人口の増加に伴いタンパク質の需要が急速に高まっていることや新興国での食肉需要が拡大していることもあり、大きな注目を集めている。

 こうした中、DAIZ社には、次世代植物肉の研究開発や国内外の市場への普及を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されている。三菱ケミHDは、持続可能なフードシステムの実現やGHG削減などの社会課題解決に取り組むことは絶好の事業機会になると捉えており、DAIZ社との連携によりグループの食品に関連する技術力をより一層強化していく。

 なお、三菱ケミHDはこれまで複数のグローバル投資を行ってきたが、今回のDAIZ社への出資は、国内のスタートアップへの出資の第1号案件となる。三菱ケミHDのラリー・マイクスナーCTOは「持続可能な食糧供給の実現は、世界中の人々の健康的で幸福な生活に不可欠であるとともに、私たちが暮らす地球の持続に必要なGHG削減という観点からも非常に重要であり、当社グループのコアバリューと深く結びついている。当社は、食品添加物から医薬品に至る幅広い分野において世界的に優れた技術を有しており、DAIZ社のミッションの達成に大きく貢献できる」とコメントしている。

 今回の出資は、新たな成長市場で事業を拡張、開拓していくためにスタートアップとの戦略的提携を継続的に進めていることを示すもの。三菱ケミHDは今後もこうした提携を活用し、グループの事業拡大とポートフォリオ改革を後押ししていく考えだ。

植物肉「ミラクルミート」の製造工程
植物肉「ミラクルミート」の製造工程