旭化成 他家iPS細胞由来軟骨のライセンス契約を拡大

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2020年2月3日

 旭化成は31日、iPSアカデミアジャパンとライセンス契約を締結しているiPS細胞技術に関する特許について、原許諾範囲を拡大する変更契約を締結したと発表した。なお、同特許はiPSアカデミアジャパンが京都大学より許諾されているもので、旭化成は2018年にライセンス契約を結んでいた。

 今回の変更契約により、原許諾範囲である外傷性関節軟骨損傷を適応とする治療用途に加え、全世界での変形性関節症と半月板損傷を適応疾患とする治療用途を対象とした、iPS細胞技術に関する特許の非独占的通常実施権と、軟骨分化誘導技術に関する特許の独占的通常実施権を取得。

 これにより、旭化成は、当該特許権が及ぶ全世界で、変形性関節症や半月板損傷などを適応とするiPS細胞由来の再生医療等製品を独占的に研究開発・製造販売する権利を保有し、iPSアカデミアジャパンに対して、契約一時金と開発段階に応じた開発マイルストーンを支払い、販売後は、販売額に応じたロイヤルティと販売額の目標達成に応じた販売マイルストーンを支払う。

 軟骨分化誘導技術とは、iPS細胞などの多能性幹細胞を、特殊な培養条件によって軟骨細胞に分化させるとともに、細胞外マトリクスを生成させ軟骨様組織を作製する技術。

 今回の変更契約では、適応範囲の拡大のみならず、iPS細胞から軟骨様組織(軟骨パーティクル)を製造する技術に加えて、板状の軟骨を製造する特許技術についても許諾対象に追加される。

 今後については、旭化成は引き続き、京都大学iPS細胞研究所の妻木範行教授との共同研究を推進し、外傷性に限らない関節軟骨損傷を適応とするiPS細胞由来の再生医療等製品の実用化に向けて、製造技術の確立を進めていく。

 同社は「軟骨の再生医療技術を研究開発プラットフォームに加えることにより、当社グループの整形領域における取り組みをさらに強化していくことができるものと期待している」とコメントしている。