住友商事 成長戦略の一環としてパラグアイで農薬販社を設立

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2020年4月16日

 住友商事はこのほど、南米地域の農薬販売ビジネスの成長戦略の一環として、同地域の農薬販売会社を統括するホールディング会社Summit Agro South America(チリ:SASA社)の傘下に農薬販売会社のSummit Agro Paraguay(パラグアイ:SAPY社)を8月(予定)に設立することを決定した。パラグアイでの農薬販売会社の設立は日本企業として初となる。

 南米地域の農薬市場は、人口増加に伴う食糧需要の高まりを背景に安定的な成長を遂げ、現在約140億ドル規模(世界農薬市場の約25%)と言われている。住友商事は、2015年に南米地域の農薬販売統括会社のSASA社を設立し、同地域5カ国(アルゼンチン、チリ、コロンビア、エクアドル、ペルー)で農薬販売網を確立するとともに、地域一体運営を推進。今回のSAPY社設立によって、SASA社の事業基盤を強化し、南米地域での農業の一層の生産性向上に貢献する。

 パラグアイは、ブラジル、アルゼンチンに次ぐ、南米第3位(世界第6位)の大豆生産地。作付面積の増加と、除草剤や殺虫剤、殺菌剤といったスペシャリティ農薬の使用増加に伴い、農薬市場は今後も成長が期待される。

 SAPY社は、日系農薬メーカーが開発する新規農薬の導入や開発を推進することで商品ポートフォリオを拡充し、SASA社が持つ大豆向け農薬ビジネスの知見を生かして、良質な顧客サービスを提供する。5年後には売上高2500万ドルの事業規模を目指す考えだ。

 住友商事の農薬事業は1970年代の日本メーカーとの農薬輸出トレードに始まり、各国農業の生産性向上、効率化に貢献してきた。現在はバリューチェーンの川下分野の深化を戦略として掲げ、欧米を中心に30カ国以上で輸入販売事業を展開している。また、ブラジルやルーマニア、ウクライナでの農業資材問屋の買収などを通じ事業範囲の拡大にも注力しており、収益規模の拡大に取り組んでいる。

 同社は、SAPY社を通じて日系農薬メーカー製品の海外輸出を促進するとともに、パラグアイの高まる農薬需要に応えていく。