日本ゼオン 高熱伝導放熱材料の生産開始、熱問題解決に貢献

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2021年6月17日

 日本ゼオンは16日、独自の製造技術で開発したシート系放熱材料(TIM)について「VBシリーズ」の生産を開始したと発表した。

 同社が開発したTIMは、スーパーグロース法によりカーボンナノチューブ(SGCNT)とゴムを複合した高性能なシート系熱界面材料。放熱材料として一般的に普及しているグリース系材料に比べ、熱伝導率、耐久性、作業性の面で優位性を発揮することから、電子部品の熱問題解決に大きく貢献することが期待される。

 近年、サーバーや通信機器用チップの情報処理能力の向上に伴い、熱対策へのニーズが高まっている。同社が今回、生産を開始した「VB200」は「VBシリーズ」の標準グレード。一般的な放熱材料と比べて、垂直方向(Z軸=厚み方向)に高い熱伝導率をもつとともに、同社が得意とする特殊エラストマー技術を応用することで優れた耐久性を発揮する。

 今後、半導体業界では、デバイスの小型化や高速化が進むことにより、ますます発熱の問題がクローズアップされると見られる。同社が開発した放熱シートは、これら半導体の高性能化に伴う課題解決に役立つだけでなく、高密度化・薄型化したICなどの電子部品、同じく熱マネージメントを必要とするその他の電子機器への適用も期待されている。