ランクセス 米国エメラルド・カラマ買収で成長戦略加速

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2021年4月12日

 ランクセスはこのほど、米国のコンシューマー向け特殊化学品の世界トップメーカーの1つエメラルド・カラマ・ケミカル社を完全買収することに合意したと発表した。負債類似項目差し引き後の買収額は約10億4000万米ドルで、今年下半期に完了予定だ。昨年のエメラルド・カラマ・ケミカル社の売上高は約4億2500万米ドル、特別項目を除いたEBITDAは約9000万米ドル。ランクセスは、買収完了後3年以内に相乗効果によるEBITDAの上積み約3000万米ドルを見込んでいる。

 エメラルド・カラマ・ケミカル社は米国、オランダ、英国に生産拠点をもち、売上の45%が北米だ。食品保存料、家庭用・コスメティック用製品、香料、家畜飼料向け製品などコンシューマー向け特殊化学品が売上の約75%を占め、残りはプラスチックや接着剤産業向けの工業用特殊化学品だ。

 ランクセスはグローバルビジネスで、コンシューマープロテクション部門の製品や畜産衛生市場での製品を含む抗菌有効成分やバイオサイド製品などを強みとしており、今回の買収でこの分野のポートフォリオ拡大にさらに力を入れる。食品産業や畜産衛生など収益性の高い新たな応用分野を拡大し、さらに成長地域である北米での存在感を高めていく考えだ。

 

ランクセス、アントワープに亜酸化窒素還元プラント開設

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2021年4月6日

 ランクセスはこのほど、ベルギー・アントワープにある製造拠点で亜酸化窒素(N2O)還元プラントを稼働開始しクライメイト・ニュートラル(気候中立)実現のための新たな一歩を踏み出したと発表した。年間約500tのN2Oを分解し、その気候影響は15万tのCO2に相当する。投資額は約1000万ユ―ロ。2023年操業開始予定の第2プラントで、さらにCO2 30万t相当の削減を見込む。

  N2Oは笑気ガスとして知られ、カプロラクタム製造時に副生する。人体に害はないが、環境影響はCO2の約300倍だ。新プラントでは、約1000℃でN2Oを無害な窒素と酸素に分解・中和し、次工程でアンモニアを還元剤として使い、窒素酸化物(NOx)を250~450℃で窒素と水に分解する。これらプロセスを組み合わせて、プラントの熱効率は上がった。特別に開発したセラミックス熱交換器によりN2OとNOxの分解時に発生する熱を熱酸化に使うため、ごく少ない外部エネルギーの供給でプロセスは稼働し続ける。地球規模の温暖化を2度未満に抑えるというパリ協定の目標に全力で取り組む同社にとって、アントワープの新しいN2O還元プラントは「2040年までに気候中立を達成」するための重要なプロジェクトの1つだ。

 ほかにもインドの複数の拠点ではバイオマスと太陽光エネルギーの供給を大幅に増加させ、将来的には石炭やガスの使用を廃止する。ドイツの主要生産拠点での石炭使用エネルギーも段階的に廃止する予定で、一昨年、同社は2025年までに気候保護プロジェクトに最大1億ユーロを投資すると発表した。現行の製造プロセスの多くを見直しており、工業規模での開発を行うために製造プロセスと技術革新に焦点を当てた研究を進めている。これらEU域内排出量取引制度の証明書の削減や、革新的技術によるエネルギー使用量の抑制などの気候保護への取り組みは、同時にコストの削減にも繋がるとしている。

ランクセス 持続可能性に連動した経営陣報酬制度を導入

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2021年3月25日

 ランクセスはこのほど、経営委員会の変動報酬のおよそ3分の1を持続可能性に関する業績に連動させる制度を導入したと発表した。同社は2040年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)を達成するという目標を掲げており、持続可能性に関する取り組みを社内に根付かせる一環として、気候保護と労働安全衛生分野の実績が今年の報酬制度に反映される。

 現在、短期変動報酬の80%は業績、残りの20%は休業災害で評価した労働安全衛生によって決定されている。また、長期変動報酬の約60%はMSCIワールド・ケミカル・インデックスに連動した同社の株価実績に、約40%が温室効果ガス排出量の削減実績に基づいている。

 同社は経営委員会メンバーにも直接、持続可能性に関するテーマを割り当てており、気候保護とエネルギー、労働安全衛生、環境保護、製品と循環型バリューチェーン、従業員と企業文化、および持続可能性の目標達成に関する透明性の高い報告が含まれている。新設されたサステナビリティ委員会を通じて、経営委員会のメンバー全員が主要なサステナビリティ・プロジェクトに関する共同決定を下すことになる。

 同社のマティアス・ツァハトCEOは「当社は企業責任を十分認識するがゆえ、持続可能性を行動指針としている。それは同時に顧客や人材、さらに資本市場での競争優位性も高める。この報酬制度や仕組みにより、企業内の持続可能性は一層強固なものになる」と述べている。

ランクセスの2020年度通期は減収減益も来期増益見込

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2021年3月23日

 ランクセスの2020年度通期(1-12月期)の連結業績は、売上高は前年比10%減の61億ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは同15%減の8億6000万ユーロ、純利益はカレンタ社の株式売却により四倍増の9億ユーロだった。パンデミック下においても堅調な業績を達成し、特に第4四半期は好業績となった。収益比率は、グループの安定したポジションが危機にも耐えた結果だ。

 昨年度は逆浸透膜事業とクロム化学品事業、有機皮革用化学品事業の売却など、特殊化学品へ注力する戦略を進め、利益性の高い事業基盤を構築した。2021年度は特にコンシューマープロテクション製品へ注力する予定で、紙、パッケージ向けバイオサイドメーカーINTACE社、消毒・衛生製品のソリューションプロバイダー・テセオ社、エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収で、食品産業や畜産衛生などの高収益性分野での成長と拡大を図る。

 セグメント別では、アドバンスト中間体部門は減収減益。新型コロナウイルスのパンデミックによる需要の低迷、販売価格の値下げの影響を受けた。スペシャリティアディティブス部門は減収減益。特に自動車と航空産業の販売量の大幅減少と為替のマイナス、販売価格の若干の値下げが影響した。

 昨年度新設したコンシューマープロテクション部門は増収増益。サルティゴの農薬事業と消毒剤の好調な需要と、ブラジルのバイオサイドメーカーIPEL社の買収によるポートフォリオ強化で、為替のマイナス影響を相殺する以上の結果となった。

 エンジニアリングマテリアルズ部門は減収減益。上半期の自動車業界の需要低迷と、ベルギー拠点の大規模定期メンテナンスによる稼働停止などが影響した。2021年度は顧客産業の多くが回復基調となると見ており、特別項目を除いたEBITDAは9~10億ユーロを見込んでいる。

ランクセス 酸化鉄、酸化クロム顔料の製品価格を改定

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2021年3月17日

 独ランクセスはこのほど、2月8日付で酸化鉄顔料と酸化クロム顔料の価格を世界的に改定し、以降の出荷分より即時に適用する、と発表した。酸化鉄顔料は1tあたり110ユーロ、酸化クロム顔料は1tあたり220ユーロ(または相当する現地通貨)の値上げとなる。なお、製品と地域によって状況が異なるため、具体的な内容は個別に連絡するとしている。

 同社は世界最大の合成酸化鉄顔料メーカーで、有数の酸化クロム顔料メーカーだ。数十年の実績を持ち、持続可能な厳しいガイドラインに基づいて製造している。高い着色力を持ち、建材、塗料・塗装、プラスチック、紙などの着色剤として提供されている。

ランクセス 1,6-ヘキサンジオールを世界的に値上げ

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2021年3月11日

 ランクセスはこのほど、1,6-ヘキサンジオール(HDO)について世界的に値上げすると発表した。改定幅は「800ユーロ/t」で、即時に適用される。

 HDOは、高性能コーティング、繊維、接着剤、ポリウレタン、ポリカーボネートジオールの重要な前駆体であり、エポキシ樹脂の反応性希釈剤としても使われている。

ランクセス 仏INTACE社買収でポートフォリオ強化

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2021年2月18日

 ランクセスはこのほど、フランスの包装業界向け特殊殺菌剤メーカーINTACE社(パリ市)を買収すると発表した。バイオサイド製剤と抗菌剤メーカーとして世界市場におけるポジションの一層強化を図る。2021年第1四半期に買収手続きが完了する見込みで、売買価格は公表しない。

 INTACE社の製品は特に紙、ボール紙、石鹸用包材、ラベル、紙幣に使用され、昨年の売上は数百万ユーロだった。新たな製品ポートフォリオを短期間で統合し、ランクセスのグローバルな組織・経験と法規制に関する高い専門性を生かし、INTACE社の強固な顧客ネットワークのさらなる強化を目指す。

 ランクセスはコンシューマープロテクション分野の市場統合に積極的に参画しており、これにより消費財業界向け包材・ラベル用のバイオサイド製剤の技術プラットフォームが強化される。またプラスチックから紙の包装への転換が一層進む現在の動向にも合致するとしている。

ランクセス 消毒・衛生製品の仏テセオ社買収計画を発表

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2021年2月16日

 ランクセスはこのほど、コンシューマープロテクション事業拡大のため仏テセオ社(仏・ラヴァル)買収の独占交渉を開始したと発表した。

 テセオ社は欧州とラテンアメリカの消毒・衛生製品のトップメーカーであり、同社製品は、特に畜産分野の疾病予防・抑制に使われている。買収によりランクセスは、成長する畜産衛生市場での製品ラインアップを大幅に拡大し、将来的には動物用栄養業界向け製品も提供可能になる。ランクセスは約7000万ユーロの資金調達を計画しており、規制当局の承認後、今年半ばに買収取引を完了する予定だ。

 テセオ社の2020年度の売上高は約3300万ユーロ、EBITDAは数百万ユーロを見込んでおり、3年以内に相乗効果により同程度のEBITDAの上積みが期待される。ランクセスの1株当たり利益(EPS)は、初年度から増加すると見られる。

 テセオ社はフランス、ドイツ、英国、ブラジルに拠点を置き、欧州での強力なプレゼンス、経験豊富な従業員、技術分野と規制に関する専門性、定評あるブランド、確立された流通ネットワークをもつ。また、豚・鶏分野の消毒・衛生製品と、畜産用飲用水衛生と動物用栄養分野の優れたポートフォリオにより、バイオセキュリティや抗生物質フリー食肉などの重要な役割も担う。

 一方、物質保護剤(MPP)ビジネスユニットは幅広い抗菌有効成分ラインアップと処方を生かし、消毒、塗料・コーティング、木材保護、建設、飲料といった様々な業界で顧客特有のソリューションを提供し、包括的な技術サービスと法的規制サポート、プロジェクト固有の研究開発サービスも提供している。その中の消毒・衛生製品ソリューションのポートフォリオを補完し、畜産衛生分野を強化・拡充しビジネスをより成長させ、グローバルなプレゼンスを高める。

 ランクセスは収益性の高い特殊化学品分野に注力する中、コンシューマープロテクション製品は重要で、同分野の高収益事業をさらに拡大させていく考えだ。

 

ランクセス 高転がり性・高耐荷重性エラストマーを開発

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2021年1月18日

 ランクセスはこのほど、動的特性と耐疲労性に優れたp-フェニレンジイソシアネート(pPDI)ベースの特殊熱硬化性エラストマープレポリマー「アディプレン(Adiprene)PP1095H」を開発したと発表した。ホイールトレッド(車輪の接地部分)やローラー用途向けの、極めて高い耐荷重性をもつエラストマーへの世界的な需要拡大に応えるもので、フォークリフトのホイール、高層ビルや産業用エレベーターのガイドローラー、農業機械や高性能ジェットコースターのローラーに使用される。

 「アディプレンPP1095H」はpPDI末端基をもつポリエスルベースのプレポリマーで、硬化剤「バイブラキュア(Vibracure)A250」を使用してショアA硬度95のエラストマーとなる。幅広い温度条件で優れた動的特性を維持し、変形による発熱はわずかで、連続使用による過熱は起こらず、他の素材と比べて高い性能を実現できる。転がり抵抗は低く、フォークリフト運転時のエネルギー節約などにもつながる。これらの特長により、ホイールやローラーは従来以上の高速運転と高い積載能力を実現し、車両、輸送システム、エレベーターのさらなる高速・効率的運転が可能となる。

 また、同社独自の数理モデルを使い、エラストマーの特長を顧客の設計仕様に沿って最大限に生かし、さらにホイールトレッドやローラーの性能の厳密な予測も可能だとしている。動的機械分析で材料の減衰特性(Tan δ)などのパラメーターを測定し、ホイール形状やデューティサイクル、動作温度などの顧客の仕様を考慮し、ヒステリシス破損する荷重と運転速度を計算し、疲労破壊や接着破壊など他の負荷による破損を予測する。このモデルは多くの異なる業種で、高い予測精度を示し、ホイールトレッドやローラーの最適化を行ってきた。また、他のキャストウレタン製品へも適用可能だ。「アディプレンPP1095H」は、機械的な負荷が大きく高速で動作する高性能ホイールとローラー用途向けに提供を開始する。

 

《化学企業トップ年頭所感》ランクセス 張谷廷河社長

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2021年1月14日

 昨年は新型コロナの影響で、世界は未曾有の共通課題に取り組んだ。仕事や生活様式は一変し、産業界ではDXが加速した。新内閣の「脱炭素社会の実現」やガソリン車販売禁止の方針など、EV普及の議論が進んだ。

 当社の日本事業も需要低迷によるマイナス影響を受けたが、「コンシューマー・プロテクション」部門は成長した。安全確保と業務効率化で働き方改革が進み、デジタル化による在宅勤務体制で事業継続できた。尽力した従業員、パートナー企業の皆さまに感謝申し上げる。

 グローバルでは製品ポートフォリオを見直し、水処理分野の逆浸透膜事業と皮革用化学品事業を売却した。「コンシューマー・プロテクション」など成長分野へ注力し、事業を推進した。アジア太平洋地域では、上海の用途開発センターで地域に即した製品・サービス開発を進める。SDGsではグローバルの「クライメイト・ニュートラル(気候中立)達成」目標に向けたプロジェクトを進め、水ストレスの高い4拠点での水資源管理を強化した。

 今年は、昨年導入したニューノーマルを基盤に変革が続く。強固な財務基盤とDXによる業務基盤を土台に注力事業へ投資し、成長と拡大に向けた施策を検討する。日本も3事業領域へ注力し、持続可能な発展への取り組みとデジタル化を積極的に進める。

 1つ目の「コンシューマー・プロテクション」部門は人と環境を保護する水・液体処理製品、農薬、医薬品、消毒剤・衛生剤、飲料用殺菌料・保存剤などからなり、成長をけん引する。次が「環境にやさしい新モビリティ」への取り組みで、低燃費、低CO2排出、安全性、設計自由度など、軽量化やEV向けの熱可塑性コンポジットシートや難燃・耐久・加工性の高性能プラスチックなどの高付加価値製品だ。最後の「添加剤と潤滑油」事業は建築、自動車、機械、電子・電気機器など広範な製造業を対象とし、樹脂の難燃剤やバッテリー用の新材料などの開発も進める。引き続きSDGsに向けて気候と環境の保護、生活向上に取り組み、ダイバーシティの推進と従業員の働く環境と制度の充実を進める。

 今年はこの体制を基盤に、従業員、パートナー企業の皆さまと共に、日本での事業の飛躍を目指して事業強化に取り組んでいく。