デンカ 「アビガン」の原料を供給、5月から生産開始

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2020年4月6日

 デンカはこのほど、日本政府の要請を受け、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の原料となるマロン酸ジエチルを供給することを決定したと発表した。青海工場(新潟県糸魚川市)にて、今年5月より生産を開始する予定。同社は、新型コロナウイルス感染症への対策を社会的責務と捉え、迅速に生産体制を構築し確実な供給を図っていく考えだ。

 「アビガン」は、富士フイルム富山化学が開発した、COVID‐19への治療効果が期待される抗インフルエンザ薬。COVID‐19は現在、治療法が確立されていない疾患であり、急速かつ世界的な拡大を受けて世界保健機関(WHO)がパンデミックを表明するなど、有効な治療法の早期発見と開発が急務となっている。

 今回、「アビガン」の国内薬事承認を進める日本政府より、国内での一貫した供給体制を構築するため国産の原料を使用したいとの要請を受け、マロン酸ジエチルの供給を決定した。

 マロン酸ジエチルは、合成香料・農薬・医薬品などの原料として使用される有機化合物。デンカは国内唯一のマロン酸ジエチルメーカーであり、またその原料となるモノクロル酢酸も国内で唯一、関連会社のデナックが生産している。グループ内で、原料から最終製品に至る一貫生産体制の下、2017年までマロン酸ジエチルの生産を行ってきた。