ダイセルはこのほど、ザクロ果皮から抽出したエラグ酸の腸内代謝物である機能性食品素材ウロリチンA「ウロリッチ」を日本国内で販売開始したと発表した。「ウロリッチ」はザクロ果皮抽出物から発酵法を使って生産されるが、この製法は同社が世界で初めて開発。細胞を再活性化する機能性素材として、サプリメントメーカーに供給していく。
ウロリチンAは、ザクロに含まれるポリフェノール・エラグ酸が、ヒト腸内の腸内細菌によって代謝されて作られる物質の1つ。オートファジー(細胞の自浄作用)やサーチュイン遺伝子(長寿に関する遺伝子として報告されている遺伝子群)の活性化などにより細胞を再活性化するウェルエイジング素材として注目されている。
ただザクロなど、エラグ酸を含む食品を摂取しても、腸内細菌叢の条件が整わなければウロリチンAへ代謝することはできない。そのため、普段の食事摂取から十分に補給することは大変難しく、食品素材原料としての開発に期待が寄せられていた。
これまで化学合成によるウロリチンAの製造は報告されているものの、日本国内では合成法の素材は食品原料として使用できない。こうした中、同社は、独自菌株を複数組み合わせ、嫌気性培養を行うことでザクロ由来エラグ酸からウロリチンAを発酵で製造する方法を世界で初めて開発した。
同社は、日本オートファジーコンソーシアムに参画するとともに、大阪大学発ベンチャー企業との共同研究を実施し、オートファジーのメカニズム解明に向けて研究を継続している。また、肌に関する機能研究を九州大学と実施しており、他の機能性についても複数の大学で研究中。今後は、ヒトでの効果検証など、さらなる機能性解明に向けて取り組んでいく。