クラレはこのほど、米国現地法人のクラレアメリカ(テキサス州)のEVOH樹脂「エバール」工場で、11月29日(現地時間28日)に発災ラインの稼働を再開し、全ラインで定常運転となったと発表した。
同工場は、今年5月に発生した火災事故の影響で、定期修理と能力増強工事が遅延していた。なお、能力増強工事完了後のエバールのグローバル生産体制は、岡山事業所1万t、クラレアメリカ5万8000t、エバールヨーロッパ(ベルギー)3万5000tの合計10万3000tとなった。
2018年12月4日
2018年12月3日
2018年12月3日
2018年11月21日
クラレはこのほど、ミカサのバレーボール「V200W」の表皮素材として、同社が製造・販売する人工皮革「クラリーノ」の採用が決定したと発表した。
V200Wは今月16日にメキシコのカンクンで開催された第36回国際バレーボール連盟(FIVB)世界総会で発表された公式試合球の最新モデル。2008年の北京オリンピックから使われ始めた「MVA200」の後継モデルとして、2019年のFIVBワールドカップでデビューする予定だ。
V200Wに採用されるクラリーノの特長は、①スポンジ状の風合いをもつマイクロファイバー不織布層に、発泡層をもつポリウレタン表皮を重ねた「二重クッション構造」で、ソフト感と柔らかさを実現②ボール表面にディンプルシボ(凹加工)を施し、さらにフラット面にも微細なシボを付与した「マルチパターン構造」により、ボールの飛行安定に貢献③ボール表面のナノ・バルーン シリカコーティング加工により、汗濡れなどで生じる競技中のボールの滑りを抑制し、ボールのコントロール性を大幅に向上させること。
クラレとミカサとの協業の歴史は長く、両社の取り組みのはじまりは1967年まで遡る。以来両社は、バレーボール用表皮素材を共同で開発してきた。2008年には、両社で共同開発を行ったクラリーノが、FIVB公式試合球MVA200に採用された。バレーボール用表皮素材として高い評価があり、今回の最新モデルにも、引き続き採用されることが決定した。
2018年11月13日
クラレは12日、従来品に比べ耐熱性を約15℃向上させた高耐熱性メタクリル樹脂(PMMA)「パラペットSP」を開発したと発表した。
PMMAは透明性・耐候性に優れるという特徴を持っており、自動車や液晶ディスプレイ部材、建築材料、雑貨など幅広い分野で使用されている。同社では原料モノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)からPMMAを生産し、さらにシートやフィルムまで一貫生産している。
多様な重合技術や成形加工技術などの独自技術を活用した差異化ポリマー製品を展開しており、特に光学用高機能グレードや軟質グレードなどで高いシェアを持つ。
近年、PMMAでも、透明性・耐候性・成形性に加えて、耐熱性向上の要求がある。同社はPMMA本来の物性を保持したまま高い耐熱性を有したパラペットSPの開発に成功、本格的にサンプルワークを開始する。
PMMAの耐熱性を高める手法として、耐熱性の高いモノマーの共重合やポリマー鎖に環状構造を導入することが一般的に行われているが、このような手法で得られる耐熱性PMMAは、剛直性が高くなり、脆く割れやすいという課題がある。
同社ではこの課題を解決するため、PMMAの高次構造に着目し、これを制御する重合技術を開発し、工業化することに成功した。
同社の開発品は、PMMAが本来有する力学物性、光学特性、耐候性を保持したまま、一般的なPMMAと比較して約15℃高い、約130℃のガラス転移温度を持つ。また、製造方法に由来して、表面硬度の向上効果も確認されている。
さらには、他の一部樹脂との相溶性についても良好な傾向が確認されており、発色性改善などの樹脂改質剤としての効果も期待される。
同社は、高い耐熱性能が要求される自動車用途や光学用途、他樹脂とのブレンドによる樹脂改質剤、各種フィルム原料、表面コーティング剤などへの用途展開を図っていく。
2018年11月12日
クラレの2018年12月期第3四半期の連結決算は、有形固定資産の減価償却方法の変更などで、ビニルアセテートセグメントが減益となったことなどにより、増収減益となった。
売上高は前年同期比19%増の4499億円、営業利益は同2%減の572億円、経常利益は同4%減の548億円、純利益は同7%減の351億円。営業利益については、数量・操業度では同185億円のプラスとなったが、交易条件で同マイナス25億円、経費その他がマイナス172億円となり、全体として同11億円の減益となった。
セグメント別では、ビニルアセテートは増収減益。各事業とも販売を伸ばしたが、有形固定資産の減価償却方法と耐用年数、全社共通費の配賦方法の変更が響き減益となった。
ポバール樹脂・光学用ポバールフィルム・水溶性ポバールフィルムは、順調あるいは販売数量が拡大。PVBフィルムは原燃料価格上昇の影響を、EVOH樹脂「エバール」は、米国工場の定期修理と能力増強工事遅延の影響を、それぞれ受けた。
イソプレンも増収減益。イソプレン関連では、ファインケミカル・熱可塑性エラストマー「セプトン」・液状ゴムともに数量が伸びたが、原燃料価格上昇の影響を受けた。 耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」も、自動車用途などで販売が拡大したが、原燃料価格上昇の影響を受けた。
機能材料は増収増益。メタクリルは好市況が継続したことに加え、高付加価値品の販売が拡大。メディカルは歯科材料のジルコニア系製品の拡充が寄与した。カルゴン・カーボンは米国を中心に販売量が増加したが、炭素材料は汎用用途の販売量が減少した。
繊維は減収減益。人工皮革「クラリーノ」は、ラグジュアリー商品用途への拡販が進んだ。生活資材では「クラフレックス」で高付加価値品の販売が拡大した。ビニロンは原燃料価格上昇の影響を受けた。通期の業績予想は、前回発表から変更していない。
2018年11月6日
2018年10月10日
クラレは10日から幕張メッセで開催される「第8回国際農業資材EXPO」(農業ワールド2018内)に出展する。
今回、農業の展示会では初めて、クラレ、クラレトレーディング、クラレクラフレックスが一堂に会し、種から出荷に至るまで、農作業の様々なシーンに使用されている素材・資材を紹介。クラレグループの総合力で、現代農業が抱えるあらゆる課題へのソリューションを提供する。
主な出展製品は農薬散布に使用できる保護マスク、「クレモナ」寒冷紗、ビニロンを用いた繊維培地、「クラレポバール」、親水性樹脂培地「ソフィテラ」、「エバール」使用の土壌燻蒸用バリアフィルムと穀物保存袋。
農薬散布に使用できる保護マスクは、活性炭入りの使い捨て高性能マスクで、クラレが製造する独自の高性能活性炭「クラレコール」を使い、作業時の不快な臭気を強力に吸着・軽減する。国家検定に合格している(区分:DS2)。
クレモナ寒冷紗は、親水性のあるビニロンを使用。適度な保湿力により、葉焼け・乾燥などから植物を守る。沿岸地域で問題となる塩害対策にも効果がある。
ビニロンを用いた繊維培地は、親水性のあるビニロンを使った、水耕栽培向けの初期育苗用培地。水の吸い上げ性や保水性に優れ、繊維方向が縦にそろっているため、直根性植物の栽培に適している。
クラレポバールは水溶性の合成樹脂。粒状農薬・肥料の物性や取り扱い性を高めるバインダーとして使われる。また、種子のコーティング剤として、発芽率改善や機械播種時の粉じん抑制に寄与する。そのほか、土壌改良剤や展着剤など、幅広い用途で使用することができる。
ソフィテラは親水性を持つクリーンな人工樹脂培地。適度な粒度で通気性も良いため、根腐れしにくく、収穫時の根離れも良好。洗浄して繰り返し使用できる。
エバールを使った土壌燻蒸用バリアフィルムは、プラスチックの中で最高レベルの気体遮断性を持つエバールを使用。薫蒸剤を土壌に閉じ込め、土壌病や害虫の防除効果を向上させる。また、燻蒸剤の漏洩量低減により、薬剤の使用量を最適化できる。
エバール使用の穀物保存袋は、エバールのガスバリア性を生かした。酸素の侵入を抑えることで、微生物や害虫などが生存できない環境を作り、穀物や種の品質保持に貢献する。
2018年10月4日
クラレは企業広告キャンペーンの一環として、新テレビCMを10月1日からオンエアした。今年スタートした「クラレの真ん中(ハート)を知る時が来た」をメインコピーとする、企業広告の第2弾。引き続き、米国人女優のシャーロット・ケイト・フォックスさんが同社の社員役を演じる。
CMでは、クラレという会社の真ん中、つまり社員1人1人の心(ハート)の中にある「自分たちが生み出した素材のチカラで地球、人間、社会に貢献したい」という熱い思いを、シャーロットさんが他の社員と触れ合う過程で見つけていく。
今回は「食品ロス」編。会社帰りにクラレ社員のシャーロットさんと松本麻衣さんが焼肉店で食事をする。松本さんは、「食品ロスを素材のチカラでなくしたい」という仕事にかける熱い思いをシャーロットさんに打ち明ける。それが松本さんの「真ん中」だと気づいたシャーロットさんは「クラレハート」を手に、「それが麻衣の真ん中なのね」と笑顔で応える。
このキャンペーンでは、クラレグループが事業を通じて環境・社会問題の解決に貢献していることを理解してもらうとともに、グループ全体が、そんな熱い思いを持った「人」の集まりであると知ってもらえることを願っている。
第1弾では、クラレ社員になったシャーロットさんが、自分が入社した会社がいちばん大切にしているものを知るために、岡山県倉敷市にある同社の「くらしき研究センター」を訪れるという内容だった。
2018年10月4日
世界有数の総合包装展「TOKYO PACK 2018-2018東京国際包装展」が5日まで開催されている。1966年に第1回が開催されて以降、隔年で実施。27回目となる今回は、前回を上回る出展社総数700社・2609小間の規模で行われ、フードロスや環境問題など、包装を巡る問題の解決に資する製品・技術を紹介している。化学メーカーも多数出展した中から、10社・グループの展示を紹介する。
▼出光ユニテック
出光ユニテックは「一歩先行く利便性の創造Only One」をコンセプトに、容器やシート、フィルム、ジッパーなどの開発品を中心に展示を行った。容器の「防曇シール蓋パッケージ」は、シールでありながら曇りにくくした製品。開けやすく、はめ込み式に比べ密封性が高いのが特徴だ。
「通蒸パック」は密封性と開けやすさを両立させたパッケージシステム「マジックトップ」に自動通常機能を付加させたことで、商品のロングライフ化を可能にする。
特にユニークだったのは「片手開口パウチ」。ジッパーの下にスリーブ材を設けることで、パウチを両側から押すと、スリーブ材の反発でジッパーの口が開くようになっている。
そのほか、レトルトショックに強い「酸素ハイバリアシート」、水蒸気の透過性を従来の半分にした「防湿シート」など、多様な開発品を披露していた。
▼クラレ
クラレはクラレトレーディングと「地球のために貢献しているプラスチック」をテーマに、バイオマス由来の未来型ガスバリア素材「プランティック」、同社の代表的な機能性樹脂の1つである、EVOHガスバリア性樹脂「エバール」などを紹介した。
プランティックは成形性に優れることから、主に生鮮食品のMAP(ガス置換)包装や、生パスタなどのチルド流通食品の包装材として使われる。高いバリア性により鮮度を保持することで、食品ロス削減に貢献。2003年に商業化してから、オーストラリアと欧州の大手スーパーで採用が進んでいる。
エバールはプラスチックの中で最高レベルのガスバリア性を持つ。包装材内への酸素侵入量を最小限に抑え、酸化や腐敗による劣化を防ぐことで、食品のロングライフ化に貢献する。
今回の展示では