帝人 フォードが新型車種の構造材にGF-SMC採用

, , ,

2019年8月21日

 帝人は20日、同社グループの米コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)のGF-SMC部材が、米フォード社の新車種に採用されたと発表した。GF-SMC部材とは熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させ、シート状にした成形材料のこと。

 両社はGF‐SMC部材を使用して、世界初の二重壁構造のコンポジット製エンジンシュラウド(エンジンルーム内の部品を保護するための構造材)「デュアル・ウォール・ダッシュボード」を共同開発した。これにより、自動車の快適性の評価項目であるNVH(騒音・振動・ハーシュネス)を大幅に改善できる。

 「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、フォード社が今夏から北米で展開する「フォード・エクスプローラー」の2020年モデルに搭載される。

 「デュアル・ウォール・ダッシュボード」は、エンジン後部をカバーするとともに、エンジンルームの両サイドにあるストラットタワーまでを覆い、エンジンルームとフロントバルクヘッドの間に密閉性の高い空間を設ける。これにより、エンジンルーム内で発生する騒音を消散させ、NVHを大幅に改善する。

 こうした機能を備えつつ、従来のスチール素材では成形が困難な薄肉で複雑な形状を、わずか4点のGF-SMC成形部材で実現し、エンジンルーム内の限られた空間への収納を可能にした。また、12ポンド(約5.5kg)と軽量で、エンジンルーム内の電気部材の熱防護機能も持っている。「デュアル・ウォール・ダッシュボード」はCSP社のコノート工場(米国オハイオ州)で製造する。

 帝人はティア1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化や、グローバル安定供給体制の確立を図っている。さらに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向け、使用材料の拡充や他メーカーとの協業なども進め、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化している。

 こうした取り組みにより、自動車向け複合材料製品事業の売上を、2030年頃に20億米ドル規模へと拡大する計画だ。