ティエラポニカ 川崎水族館で循環型水耕栽培を展示開始

, , ,

2021年11月4日

カピバラとスタッフ。左からカワスイの青山さん、吉本さん、有馬律雄館長、ティエラポニカの北村さん、有富グレディ社長、田畑さん、松村さん

 バイオベンチャー企業群・ちとせグループのティエラポニカは、カワスイ川崎水族館(神奈川県川崎市)とタッグを組み、同館での「循環型水耕栽培」の展示を始めた。

 具体的には、ティエラポニカがもつ微生物活躍型栽培技術を活用することで、同館展示の草食動物、カピバラの排泄物を微生物の働きで分解し、水耕栽培に適した「有機養液」に転換。その有機養液を肥料に水耕栽培で育てたコマツナやチンゲンサイ、レタスなどをカピバラにエサとして与え、館内での循環を生み出していく。

ティエラポニカの有富社長(右)とカワスイの有馬館長。水耕栽培設備の4つコンテナで生育中のコマツナ(左側上下2段の2つ)とチンゲンサイ

 水耕栽培への家畜糞尿など有機原料の活用は、化学肥料の使用を抑え、循環型社会への歩みを進めることが期待される。両者は循環型水耕栽培を通じてSDGs(持続可能な開発目標)達成を推進するとともに、来館者が生き物同士のつながりや循環型社会への取り組み、有機養液栽培という新規な技術に触れることにより、環境と調和した市民生活の在り方、それを支える技術に対する興味、関心がより高まっていくことを目指す考えだ。

 カワスイはアクア・ライブ・ネイチャーが運営する水族館。「世界の美しい水辺」をテーマに、同市を流れる多摩川からアジア、アフリカ、南米アマゾンの熱帯雨林まで、世界の様々な環境に暮らす生き物を最先端の技術を駆使し展示している。

 今回の新たな展示をカピバラのエサやり体験やバックヤード見学ツアーに組み込むことで、来館者が楽しみながら循環について学ぶ機会を提供していく。「循環型水耕栽培」の展示は、来年3月までを予定する。

三井化学・ちとせグループ 2つのバイオ技術を共同で事業化

, , ,

2018年10月30日

 三井化学とバイオベンチャー企業群の〝ちとせグループ〟は、「事業と人」を同時に育成する新たなオープンイノベーションの取り組みとして、両社の技術シーズを元に共同で事業開発を行う「0to1(ゼロ・トゥ・ワン)プロジェクト」を開始した。

(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長
(左から)ティエラポニカ・有富グレディ社長、三井化学・福田伸常務、ちとせグループ・藤田朋宏CEO、植物ルネサンス・秀﨑友則社長

 29日に都内で行われた両社の会見で、三井化学の植物細胞培養技術と、ちとせグループの微生物活躍型栽培技術をそれぞれ事業化するため、両社はバイオ系新会社「植物ルネサンス」(今年6月設立:秀﨑友則社長)と「ティエラポニカ」(同7月設立:有富グレディ社長)を設立したことを公表した。

 両新会社は、三井化学社員を各社の代表として受け入れ、ちとせグループの100%子会社として立ち上げた。ちとせグループは今後、同グループの人材を新社に派遣するなどして、これまでの知見を生かし2つの新社の事業を軌道に乗せることを目指す。

 三井化学・研究開発本部長の福田伸常務執行役員によると、同社に欠けていた「事業化」への取り組みを大きく加速させる狙いがある。「21世紀になって産業の構造が劇的に変化していく中で、次世代の新事業を育成していかなければいけない」(福田常務)とし、素材メーカーという立場からモノを先に作って後から用途を探す、という従来の手法からの転換を図っていきたい考えだ。

 一方、ちとせグループにとっては、同グループが得意とするバイオ関連事業の事業化を、保有する技術や知見を最大限に利用して行うことができる。ちとせグループ・最高経営責任者の藤田朋宏氏が重要視するのは、「事業化のスピード感」だ。新しいアイデアが出れば、すぐに企業に対しプレゼンを行うなど、モノづくりに先行してアイデアを売り込む。

 極端な話、社内での「会議や打ち合わせの時間がもったいない」という藤田氏によれば、アイデアに足りないものは先方と議論の中で補足していく、もしくは条件が合わなければ他社への提案に切り替えるという。なお、2つの新会社で行うプロジェクトは、2021年3月までの3年間を区切りとしている。

 ちとせグループの藤田氏は3年後について、「最低限の目標として『ゼロをイチ』にする。つまり黒字化し事業を継続的に行える状態にし、確実に利益を出すことを目標にやっていく」との見通しを示した。