住友化学は3日、イスラエルのスタートアップ企業で高精度の臭気検知IoTプラットフォームを開発するナノセント社に200万ドルを出資したと発表した。今回の出資により、ナノセント社との戦略的な技術的連携を深めるとともに、新規ヘルスケア事業の創出に取り組んでいく。
ナノセント社は、テクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップ企業で、ケミレジスタを搭載した臭気検知センサーと、検知したデータを活用するIoTプラットフォームを開発している。
すでに、複数の臭気をリアルタイムで検知できるポータブルデバイスと、検知したデータをクラウド上に蓄積・解析し、スマートフォンなどの端末にその結果を表示させる情報基盤の試作品を完成させている。
この先、単純な臭気の検知に留まらず、検知した臭気パターンをAIアルゴリズムによって機械学習させることで、体調変化のような複雑な状態を見分けられるようになる可能性がある。
住友化学は、ナノセント社との連携により、次世代ヘルスケアプラットフォームの鍵となる「体調可視化」の実現を目指している。
排泄物の臭気データから体調変化や病気の兆候を読み取り、その日の体調に適したソリューション(食事や薬、生活習慣など)の提案により、健康管理に役立てる仕組みを構築するための実証実験を計画。
また、さまざまな揮発性化学物質の集合体である臭気を高精度で検知できるナノセント社の技術は、ヘルスケアに留まらず、工場や街中での有害物質の検知・モニタリング、自動車内の臭気判定・管理など、応用範囲は多岐にわたることから、次世代事業の創出につながると判断し、今回の出資を決定した。