住友化学 コロナ診断センサー開発のナノセント社へ資金提供

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2020年5月11日

 住友化学は8日、臭気検知デバイスを用いた新型コロナウイルス感染症の迅速診断センサー開発を進めるイスラエルのナノセント社へ、必要資金の約7割を提供すると発表した。

 イスラエルのベンチャー企業であるナノセント社は、ケミレジスタを搭載した臭気検知デバイスとデジタル技術を融合した様々な新型センサーを開発。この技術を活用し、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止に向けて、鼻の呼気からウイルス感染を検知できる迅速診断センサーの開発に着手した。

 国境や空港、病院などでの感染スクリーニングシステム構築のため、すでに、イスラエルおよび欧州の病院や高精度な検査技術を開発する企業と連携し、実証実験を始めている。

 臭気検知デバイスを用いた非侵襲(生体を傷つけない)かつ即時に判定ができる極めて簡便な診断方法と、PCR法などのより高精度な検査方法を組み合わせて、「短時間」「低コスト」「高精度」で実施可能な感染スクリーニングシステムの実現を目指している。

 住友化学は、迅速診断センサー技術の開発は、新型コロナウイルス感染症はもとより、将来に発生が懸念されるパンデミック対策にも応用が可能であると評価している。また、昨年からナノセント社と共同で開発している「体調可視化」による次世代ヘルスケアプラットフォームの基盤技術向上にも資するものと判断し、今回の資金提供を決定した。

 住友化学は、今後もスタートアップやアカデミアなどとのオープンイノベーションを通じて、パンデミック対策に向けた様々な取り組みを推進するとともに、現中期経営計画の中で、次世代事業の重点領域の一つに掲げる「ヘルスケア」分野の技術開発を加速させていく考えだ。

住友化学 イスラエル企業に出資、ヘルスケア事業を創出

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2019年12月4日

 住友化学は3日、イスラエルのスタートアップ企業で高精度の臭気検知IoTプラットフォームを開発するナノセント社に200万ドルを出資したと発表した。今回の出資により、ナノセント社との戦略的な技術的連携を深めるとともに、新規ヘルスケア事業の創出に取り組んでいく。

 ナノセント社は、テクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップ企業で、ケミレジスタを搭載した臭気検知センサーと、検知したデータを活用するIoTプラットフォームを開発している。

 すでに、複数の臭気をリアルタイムで検知できるポータブルデバイスと、検知したデータをクラウド上に蓄積・解析し、スマートフォンなどの端末にその結果を表示させる情報基盤の試作品を完成させている。

 この先、単純な臭気の検知に留まらず、検知した臭気パターンをAIアルゴリズムによって機械学習させることで、体調変化のような複雑な状態を見分けられるようになる可能性がある。

 住友化学は、ナノセント社との連携により、次世代ヘルスケアプラットフォームの鍵となる「体調可視化」の実現を目指している。

 排泄物の臭気データから体調変化や病気の兆候を読み取り、その日の体調に適したソリューション(食事や薬、生活習慣など)の提案により、健康管理に役立てる仕組みを構築するための実証実験を計画。

 また、さまざまな揮発性化学物質の集合体である臭気を高精度で検知できるナノセント社の技術は、ヘルスケアに留まらず、工場や街中での有害物質の検知・モニタリング、自動車内の臭気判定・管理など、応用範囲は多岐にわたることから、次世代事業の創出につながると判断し、今回の出資を決定した。