住友化学は8日、臭気検知デバイスを用いた新型コロナウイルス感染症の迅速診断センサー開発を進めるイスラエルのナノセント社へ、必要資金の約7割を提供すると発表した。
イスラエルのベンチャー企業であるナノセント社は、ケミレジスタを搭載した臭気検知デバイスとデジタル技術を融合した様々な新型センサーを開発。この技術を活用し、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止に向けて、鼻の呼気からウイルス感染を検知できる迅速診断センサーの開発に着手した。
国境や空港、病院などでの感染スクリーニングシステム構築のため、すでに、イスラエルおよび欧州の病院や高精度な検査技術を開発する企業と連携し、実証実験を始めている。
臭気検知デバイスを用いた非侵襲(生体を傷つけない)かつ即時に判定ができる極めて簡便な診断方法と、PCR法などのより高精度な検査方法を組み合わせて、「短時間」「低コスト」「高精度」で実施可能な感染スクリーニングシステムの実現を目指している。
住友化学は、迅速診断センサー技術の開発は、新型コロナウイルス感染症はもとより、将来に発生が懸念されるパンデミック対策にも応用が可能であると評価している。また、昨年からナノセント社と共同で開発している「体調可視化」による次世代ヘルスケアプラットフォームの基盤技術向上にも資するものと判断し、今回の資金提供を決定した。
住友化学は、今後もスタートアップやアカデミアなどとのオープンイノベーションを通じて、パンデミック対策に向けた様々な取り組みを推進するとともに、現中期経営計画の中で、次世代事業の重点領域の一つに掲げる「ヘルスケア」分野の技術開発を加速させていく考えだ。