バイオインダストリー協会はこのほど、第8回「バイオインダストリー大賞」「同大賞 特別賞」、および「同奨励賞」を決定したと発表した。
同賞は、
2024年7月17日
2018年8月27日
バイオインダストリー協会はこのほど、ぜんそく治療薬のイノベーション創出に貢献した富山県薬事総合研究開発センターの高津聖志所長を、第2回「バイオインダストリー大賞」受賞者に決定した。併せて第2回「バイオインダストリー奨励賞」受賞者10人も決定した。
大賞を受賞した高津所長は、マウスB細胞の増殖分化因子としてインターロイキン‐5(IL‐5)/IL‐5受容体を発見。さらにIL‐5が、ヒトでは好酸球の増殖分化に関与していることも見いだし、好酸球の制御に基づく、新たなぜんそく治療のための抗体医薬品の開発を主導した。
協和発酵キリン、アストラゼネカ、メディミューンにより開発された、抗IL‐5受容体の好酸球性重症気管支ぜんそく治療薬「ファンセラ(一般名:ベンラリズマブ=遺伝子組み換え)」は、ぜんそくを重症化する好酸球を直接・速やかに除去。
2017~18年に米国や欧州、日本などで相次ぎ承認され、既存治療では症状をコントロールできず、頻回のぜんそく増悪や呼吸機能の低下を余儀なくされている重症ぜんそく患者に対し、追加維持療法という新たな選択肢を提供することになった。
IL‐5/IL‐5受容体の発見に端を発する抗体医薬品3剤が、ぜんそく治療薬としてすでに販売されており、これら3剤の抗体医薬品の全世界での売り上げは、21年に合計20億米ドルを超えると見込まれている。
高津所長の基礎研究でのブレークスルーは、国内外のバイオインダストリーの発展に大きく寄与するもので、バイオインダストリー大賞に最もふさわしいと評価された。
両賞は昨年、バイオインダストリー協会が30周年を迎えたのを機に、次の30年を見据え「最先端の研究が世界を創る―バイオテクノロジーの新時代―」をスローガンに創設された。
大賞はバイオインダストリーの発展に大きく貢献、あるいは今後の発展に大きく貢献すると期待される顕著な業績を表彰するもの。奨励賞はバイオサイエンスとバイオテクノロジーに関連する応用を指向した研究に携わる有望な若手研究者と、その業績を表彰する。
副賞として大賞受賞者には300万円、奨励賞受賞者には30万円が贈られる。両賞の贈呈式・受賞記念講演会は10月10日、パシフィコ横浜で開催される国際的なバイオイベント「バイオ・ジャパン2018」の会場で行われる。