資生堂はこのほど、光電子増倍管による肌のバイオフォトン測定技術を応用し、紫外線による肌の酸化ストレス研究の結果を、「生体医工学シンポジウム2021」で発表した。
酸化ストレスが高まると、肌本来がもつうるおい、透明感、ハリなどを保つ機能が低下する。バイオフォトンは肌から発生している極めて微弱な光で、酸化ストレスに伴い増加する。同社は2018年に、超高感度冷却CCDカメラによるバイオフォトンの撮影で、肌を傷つけることなく酸化ストレスの高精度での可視化を可能にした。
従来は肌から採取した細胞や角層を試薬を用いて評価していたが、今回の評価法は酸化ストレスを直接評価できるため、従来法では困難なメラニン量が異なる皮膚組織や酸化ストレス状態の経時変化などを、詳細に評価した。その結果、紫外線による酸化ストレスは、皮膚組織のメラニン量に関わらず生じること、紫外線照射直後に急激に発生するが、照射2時間後も完全には消失せず持続することが分った。
この結果は、健やかで美しい肌を維持するためには、日焼け止めを塗るなどして紫外線を防ぎ、肌の酸化ストレスの発生を抑制することや、紫外線を浴びた後に適切にダメージをケアすることが重要であることを科学的に示すものだとしている。