富士フイルム 英拠点に遺伝子治療薬専用の開発・製造施設新設

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2020年11月4日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業(CDMO)をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)の英国拠点に設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発・原薬製造施設を新設すると発表した。来年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定。遺伝子治療分野の受託ビジネスを米国市場から欧州市場にも拡大し、事業成長を加速させる考えだ。

 遺伝子治療薬は、疾患原因となる遺伝子をもつ患者にウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入して治療する、最先端のバイオ医薬品。製造には複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備、製造に最適なプロセス開発が必要になる。優れた技術・設備をもつCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造の一括委託のニーズが高まり、需要も伸びている。

 富士フイルムは2014年に米国市場で遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスを開始。ビジネス拡大のためFDBの米国テキサス拠点に遺伝子治療薬専用のプロセス開発棟新設と製造設備増強を進め、来年には生産プロセス開発から原薬製造、製剤化までをワンストップで受託できる体制が整う。

 今回、欧州市場への展開のため、FDBの英国拠点に専用のプロセス開発・原薬製造の施設を新設する。細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析機器や細胞培養タンクなどの導入と、FDBテキサス拠点の遺伝子治療薬のプロセス開発ノウハウや製造技術も投入。生産プロセス開発から初期臨床試験用治験薬の原薬製造まで、顧客の新薬の早期開発を支援する。さらに、現地の受託要請や顧客の新薬開発の進展に応じて大量生産に必要な原薬製造設備の増強も検討していく。

 今後、富士フイルムはFDBの英国とテキサス両拠点の設備を活用し、遺伝子治療薬の開発・製造受託ビジネスを拡大していく考えだ。