ブラジルのブラスケムは、米Made In Space(MIS社)と協業し、高度400㎞の軌道上にある国際宇宙ステーション(ISS)でのプラスチック・リサイクル実証試験を行っている。
実証用のリサイクル装置は、米バージニア州NASAワロップス飛行施設から、先月2日(現地時間)に打ち上げられた。
ノースロップ・グラマンのシグナス補給船12号機によりISSに運び込まれた同リサイクル装置は、バイオポリエチレン(PE)の廃棄物を加熱・押出し成形することで、3Dプリンタ用フィラメントに加工するもの。MIS社が装置を開発・製作し、ブラスケムのバイオPEのリサイクル性能を実証する。
用いられるのは、サトウキビを原料にした「アイム・グリーン」ブランドのバイオPE。両社は2016年から、ISS内で同PE製フィラメントを使用する3Dプリンタの実証を始めているが、今回のリサイクル装置と組み合わせることで、ISSという限られた空間内での資源循環を検証していく。
MIS社は「地球に依存しない探査を可能にする」を使命に、2010年に設立。微小重力環境下で使用する3Dプリンタの開発と製造を行う。MIS社のチーフエンジニアは、ISSでのリサイクル機能の検証を「太陽系の果てへの探査を可能にする持続可能な製造システムの開発に向けた重要なステップ」と位置づける。
壊れた部品をマテリアルリサイクルし、新しい部品につくり替える。プラごみを原料に戻し、別の用途へと展開する。宇宙空間で、地球から供給される原料に頼らないリサイクルシステムが実現できれば、将来の宇宙探査に多大な利益をもたらす可能性がありそうだ。