デンカは14日、ヘルスケア事業のさらなる成長を目的として、検査試薬の製造拠点である五泉事業所鏡田工場(新潟県五泉市)に約110億円の戦略投資を決定したと発表した。
ヘルスケア事業の中核である検査試薬分野は
2022年4月15日
2019年10月9日
従来の枠越え、マテリアル・ITとの融合も
帝人グループはヘルスケア事業の発展戦略として、介護保険や保険外のケアサービスまで展開する「新規ヘルスケア事業」で、新しいビジネスの確立に取り組んでいる。
新規ヘルスケア事業で注力分野と位置づけているのは「埋め込み型医療機器」「新規医療機器」「機能性食品素材」「再生医療」「デジタルヘルスケア」「スマートセンシング」。このうち、埋め込み型医療器では、帝人ナカシマメディカルを中心に、人工関節や骨接合材料などを展開している。
一昨年7月に、高品質の生体内分解吸収性骨接合材料の販売拡大に向けて帝人メディカルテクノロジーを設立。昨年1月には帝人ナカシマメディカルが、脊椎インプラントを手掛けるセンチュリーメディカルの脊椎事業を買収した。
一方、新規医療機器では、これまで下肢麻痺患者の歩行補助・歩行改善を目的とした歩行神経筋電気刺激装置「ウォークエイド」(2013年上市)、脳卒中などによる上肢麻痺のリハビリを目的とする上肢用ロボット型運動訓練装置「ReoGo‐J」(2016年上市)など、リハビリを補助する先進的な医療機器の導入・開発に取り組んできた。
しかし、一昨年に脳神経疾患領域に進出するため、米国の医療機器メーカーから、うつ病の治療装置の国内独占販売権を取得し、今年6月に「NeuroStarTMS治療装置」を上市。さらに、心臓組織の一部が欠損するなどの先天性の心疾患手術に使われる「心・血管修復パッチ」の開発を、大阪医科大学・福井経編興業と進めるなど、事業領域の拡大を図っている。
機能性食品素材では、2016年から販売しているスーパー大麦「バーリーマックス」に続き、昨年12月から発酵性食物繊維「イヌリア」の販売を開始。再生医療については、バイオ医薬品メーカーのJCRファーマと共同で、人の歯から取り出した細胞を用いた急性期脳梗塞治療薬の開発を進めている。
また、デジタルヘルスケアに関しては、企業向けにオーダーメイドの睡眠サポートを、スマートセンシングでは医療機器管理に効果を発揮する、ICタグを活用したRFID管理システム「レコピック」を提供している。
こうした製品やサービスなどを展開する帝人のヘルスケア事業の強みは、医薬品事業と在宅事業を持ち、マテリアルやITを組み合わせたシナジーを発揮できる点。埋め込み型医療機器は、ヘルスケアの知見とマテリアルの素材開発力が融合した事例と言える。
また、睡眠サポートを行っているデジタルヘルスケアは、ヘルスケア事業での睡眠に関するノウハウとITサービスの融合である。同社はこうしたさまざまな融合により、従来の保険医療の枠にとらわれない新規ヘルスケア事業の確立を目指していく。