日本触媒は20日、マリンナノファイバー社と化粧品用素材に関する業務提携契約および代理店契約を締結したと発表した。同契約により、日本触媒は化粧品素材分野においてマリンナノファイバー社が製造した「キチンナノファイバー」と「加水分解キチンナノファイバー」のマーケティング活動を開始する。
マリンナノファイバー社は、鳥取大学工学部の伊福伸介教授が設立した鳥取大発のベンチャー企業。蟹の名産地である鳥取県で大量廃棄されるカニ殻に着目し、カニ殻由来の新素材「マリンナノファイバー」に関する製品の研究開発・製造販売を行っている。
「マリンナノファイバー」は、カニ殻の主成分であるキチンおよびその加水分解物を超極細繊維として抽出した「キチンナノファイバー」と「加水分解キチンナノファイバー」。「キチン」は、カニやエビなど甲殻類の外殻やキノコの細胞壁などの主成分で、生物資源由来の物質で持続性・安全性が高い、生物分解性などの特徴がある。
従来のキチン粉末では分散性・配合性が課題だったが、超極細繊維である「マリンナノファイバー」は、化粧品素材として分散性と配合性が良好、被膜形成力に優れる、創傷治癒性がある、人の肌にすっと馴染んで潤いをもたらす、抗炎症性がある、抗菌性がある、養毛効果がある、毛髪のツヤや指通りを向上させるなど、種々の特徴的な効果効能を持つ。この画期的な天然素材により、化粧品に様々な機能を付与することが期待される。
日本触媒では、これらの特徴的な効果効能を実験データにより明確化するとともに、各化粧品用途に向けた処方を開発することで市場を開拓していく。そして、ニーズに対応した素材を提供することにより、中計の中で新規事業ターゲットの1つと定めた化粧品素材事業の拡大を目指していく考えだ。