古河電気工業はこのほど、食品や洗剤包装などに使われているリサイクルが困難な積層フィルムを強化プラスチック材料に再生する技術を開発したと発表した。日本テトラパックとゼブラの協力でボールペンを作り、社内での使用を開始した。
プラスチックごみは、海洋流出による環境汚染や焼却時に発生するCO2による温暖化の問題がある一方、新型コロナウイルスの影響で排出量が増加している。ペットボトルのような単層プラスチック製品と異なり、複数のプラスチックからなるポテトチップスの袋や、紙やアルミなどが積層している食品や洗剤のパッケージはリサイクルが困難で、ほとんどが焼却か埋め立て処分されている。
同社は昨年、これらプラスチック製品と古紙をワンプロセスで強化プラスチックに再生する技術を開発。紙(セルロース)とプラスチックは本来混ざり合わないが、紙をセルロース繊維に解きほぐしながらプラスチックに分散させることで、元のプラスチックの約2倍の強度のプラスチックに再生できる。すでに使用済み飲料用紙パックをリサイクルした産業資材製品を、昨年から販売している。
今回、ボールペンのボディ部には顔料を除き、同社の半導体製造用テープの製造ロスと、日本テトラパックのアルミ付き飲料パックの製造ロスのみを使用。これらは3種類のプラスチック(ポリオレフィンとLDPE)と紙、アルミ箔なので、混ぜると強度が低下してボールペン材料として使えないが、同社技術により強度をアップ。また、紙はセルロース繊維に解繊され、紙ごみを使ったボールペンのようには見えない。さらに、アルミ付き飲料パック廃材、ポテトチップス袋とアルミ付き飲料パック、チョコレート包装と木粉、使用済コーヒーカプセルなどの食品包装プラスチックでも、ボールペンの試作に成功している。
今後は、同社製品やボールペンだけではなく、文具、家具、電化製品、自動車部品など様々な用途に拡大し、また、自治体や小売店などとも連携・協業して、プラスチックごみ問題の解決に貢献していく考えだ。