伊藤忠商事は12日、世界最大のリサイクルナイロンブランド「エコニール」を展開するAquafil社(イタリア)とナイロン循環リサイクルに関するビジネスの推進、拡大に向けて業務提携を締結したと発表した。今回の提携を契機にナイロン廃棄物の回収からリサイクルナイロンを原料とした最終製品の開発、販売まで本格的に取り組んでいく。
昨今、カーボンニュートラルの対応が世界中で急務とされる中で、石油化学製品のリサイクル比率の向上は最重要課題の一つと位置付けられている。ナイロンは石油由来の化学繊維およびプラ原料として幅広い分野で使用される一方で、他原料との複合素材として使用されている製品も多く、リサイクルが難しい素材の一つだった。
Aquafil社は、独自の技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって粗原料であるカプロラクタム(CPL)まで戻し、不純物等を完全に除去しバージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築。2011年よりスロベニアにて漁網やカーペットなどの廃棄物を原料としてリサイクルナイロン「エコニール」の生産を開始した。「エコニール」は100%廃棄物からのリサイクルのため、石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量を最大90%削減が可能。環境配慮型素材としてファッション業界やカーペット業界などを中心に、全世界2000社以上の著名なブランドで採用されてきた。特にファッション業界ではグッチやバーバリー、プラダといった大手ファッションブランドから大きな支持を受け注目を集めている。
伊藤忠商事はナイロン原料であるCPLおよびナイロンチップについて、数量ベースで世界最大規模の取り扱いをしており、伊藤忠商事のもつナイロンバリューチェーンの活用とAquafil社のエコニール事業の方向性が合致し本提携を締結するに至った。今後は伊藤忠グループのもつ多様なネットワークを活かして、グローバルにファッションやカーペット、自動車用部材、包材等の用途向けに拡販していく。さらに既存の販売チェーンからの廃棄用ナイロンの回収スキームを構築する予定で、Aquafil社への原料安定供給の観点からも協業をすすめていく。廃棄物の回収から最終製品の販売までを共同で取り組むことにより、付加価値の高いナイロン循環リサイクルの拡大を目指す。