大手産業機械メーカーの米ハネウェルはこのほど、中国の大手家電メーカー美的集団と、新冷媒を使う空調用途開発で戦略的パートナーシップを提携した。
美的集団はビル用マルチエアコン(VRF)やチラー(ターボ冷凍機)などの空調用途で、従来のR‐410A冷媒を、ハネウェルの「ソルスティスN41」(R‐466A)冷媒への移行を図る。
R‐466Aは、据付型空調システム用途向けの低GWP(地球温暖化係数)で、不燃性の冷媒。今年末の上市を予定しているR‐466Aは、R‐410Aを代替する冷媒として、初めてASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)34分類A1クラス(不燃性)と、低GWPを両立した。
現在発表されているほかのR‐410A代替候補冷媒は、全て燃焼性だが、R‐466Aは不燃性であることから、従来の不燃性冷媒であるR‐410Aの機器設計を大幅に変更する必要がなく、燃焼性冷媒使用によるリスク対策として一般的に求められるセンサー類やバルブ類が不要だ。
初期の検証では、R‐410A代替としてR‐466Aを使う場合、設備業者に対する燃焼性冷媒への移行取り扱いトレーニングが不要であることも示されており、資格をもつ施工技術者人材の不足に対する大きなメリットになる。
ハネウェルのクリス・ラピエトラ空調用途向け冷媒担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーは「従来冷媒のR‐404Aに比べて65%低いGWPを実現した「ソルスティスN41」で、安全性と省エネ性、環境の持続可能性に貢献していく」とコメントしている。
同社は「ルスティス」「ゼネトロン」ブランドで、世界中で冷凍冷蔵やビル冷暖房、カーエアコン向けなどの幅広い冷媒を開発・製造・供給している。同社とサプライヤーパートナーは、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)技術に基づく次世代製品の研究開発と製造供給体制の整備に向け、9億ドルの投資プログラムを実施した。