住友ベーク 5G対応基板材料を開発、サンプル供試を開始

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2020年10月16日

 住友ベークライトはこのほど、第5世代移動体通信システム(5G)の高周波回路基板用として誘電特性が優れかつ低熱膨張、高弾性率の基板材料「LαZ-4785KS-LE(コア材)」「LαZ-6785KS-LE(プリプレグ)」シリーズを開発し、サンプル供試を開始した。

 5Gは高速・大容量、低遅延、多数接続などのためより高い周波数領域を使用するが、アンテナをICパッケージ上に設置したAiP(アンテナ・イン・パッケージ)、RFモジュール(無線ICと周辺回路を実装した電子部品)、メモリーなどの高周波アプリケーションの回路基板材料には低消費電力、低遅延のための低誘電率、低誘電正接が求められる。

 同社が生産・販売する半導体パッケージ基板材料「LαZ」シリーズの特徴である低熱膨張、高剛性、高弾性率特性を維持しつつ、新たな樹脂設計や配合技術により誘電率3.4、誘電正接0.003(10GHz)を達成し、ビア形成プロセス性能(レーザー穿孔・ビア底のクリーニング性)も十分に確保。銅配線との密着性にも優れ、微細配線と銅表面の低粗度により、信号伝送損失の低減が期待できる。すでにいくつかの基板メーカー、エンドメーカーで評価を開始し、来年の量産化を予定している。半導体パッケージ基板関連材料全体で2023年度に売上50億円を目指す。

住友ベークライト 植物由来リグニン変性フェノール樹脂を開発

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2020年9月3日

 住友ベークライトはこのほど、植物の主要成分「リグニン」を活用した固形ノボラック型フェノール樹脂を開発し、製造技術を確立し量産機での生産を実証したと発表した。環境対応の熱硬化性プラスチックとして、主力の自動車分野をはじめ各種分野に提供していく。

固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂 
固形ノボラック型 リグニン変性フェノール樹脂

 同社主力製品のフェノール樹脂は石油由来であり、石油資源の調達リスクや温室効果ガスの削減などの課題に対し、非可食性バイオマスなどの植物資源への原料転換が必要になってくる。

 リグニンは植物の主要構成成分で、バインダーとして植物細胞に物理的強度や化学的安定性を与える天然フェノール系高分子。芳香族有機資源として地上最大の賦存量をもち、再生可能資源として期待される。

 同社は2010年以前からリグニン利用の基礎研究に着手。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」と「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」事業にも参画し、リグニンを使った樹脂合成の基幹技術と産業利用のための樹脂開発を進めてきた。

 固形ノボラック型のリグニン変性樹脂は製造面の難易度が高かったが、既存の石油由来フェノール樹脂と同等の加工性、樹脂材料特性、コストの並立が可能となり、量産技術も確立した。

 用途に合わせて樹脂特性を調整でき、優れた強度・耐熱性に加えリグニン由来の機能をもつ。用途によってはバイオマス比率50%以上の樹脂設計も可能。環境対応要求が高い自動車や航空機関連部材をはじめ、様々な産業分野で用いられているフェノール樹脂材料への適用・実績化を目指し、国内外の各種産業分野への利用展開を図る。

 コスト競争力のある再生可能原料を利用したフェノール樹脂製品の製造プロセスの実現により、二酸化炭素排出量を削減し持続可能な低炭素社会を実現する産業基盤の構築と、SDGsの実現に寄与していく考えだ。

 

住友ベークライト 4-6月期決算(6日)

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2020年8月7日

[住友ベークライト/4―6月期決算](6日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益43,681(▲16.5%)、事業利益2,380(▲45.7%)、営業利益1,855(▲57.8%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,854(▲52.9%)。

住友ベークライト 車載用光学系製品が採用、ラインアップ拡充

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2020年8月3日

 住友ベークライトはこのほど、成長市場である車載用光学関連分野で、新開発のセンシングカメラ用偏光フィルターが一部車種に採用されたと発表した。これを機に、従来品のヘッドアップディスプレー(HUD)用光学カバーの拡販や、ドライバーモニタリングシステム(DMS)、LiDAR(光検知・測距)用波長選択フィルターの開発など、ラインアップを拡充していく考えだ。

ヘッドアップディスプレー用光学カバー
ヘッドアップディスプレー用光学カバー

 同社は光学材料として、ポリカーボネート製偏光板や、ハードコート、防曇コートなど表面を機能化した各種グレードを製造販売し、サングラスなどのアイウェアやゴーグル(医療用、民生用)、携帯ゲーム機、家電製品などに採用されてきた。

 自動車関連では運転補助や自動運転のニーズが増大。各種映像装置、カメラ、センサーの多様化や高度化、複合化が求められ、光学材料の樹脂化や樹脂材料への要求機能が高まっている。特に光学系では、材料特性が機器やセンサーの重要特性のキーとなるケースも多い。

 また、車外用では信頼性(耐久・耐候)と光学特性の両立が必要。同社は、様々な光学材料の研究開発・製造販売で蓄積した光学特性(位相差、偏光、選択波長)や表面機能コート(ハード、防曇など)に加え、建築用途で培った耐候・耐光性設計と評価技術を組み合わせてきた。特に車外側に設置する場合には、これらの両立が必要とされており、自動車メーカーや部品メーカーとの協業により、HUD用光学カバーを実績化し、センシングカメラは今年採用が決定した。

 今後、2023年に向けて市場形成が期待されるLiDAR用製品の開発も加え、2025年には30億円の売上を目指す。

 

住友ベーク 先端技術の活用で生産効率を向上、NECと共創

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2020年6月17日

 住友ベークライトは16日、NECと生産技術のデジタル化に向けて共創し、製造工程にAI、IoTなどの最先端のテクノロジーを導入することで、製造工程の自律制御を実現したと発表した。

 住友ベークライトは、国内基幹工場の主力生産ラインで、デジタル化による生産効率20%向上を実現し、国内の他の生産拠点・生産ラインへの展開を図る。さらには、海外拠点への導入に向けた環境整備を進めていく考えだ。

 少子化による生産年齢人口の減少に伴い、ものづくりの現場では人手不足が深刻化。また、熟練技術者の高齢化が進む中、技術・経験・ノウハウを伝承するとともに、ICTの活用により、これらの〝技〟を「見える化」していくことが求められている。このように製造業ではデジタル技術の活用で業務の変革を進めていくことが喫緊の課題だ。

 住友ベークライトは、NECと共創し、静岡工場などの国内主力4工場内の装置の稼働情報などを、IoTを用いて可視化するとともに、AIが各工程の制御ルールを分析することで、従来難しかった機能性化学品のバッチ連続型生産ラインでのデジタル化を実現した。

 生産技術のデジタル化の特長として、①エッジコンピューティング領域ソフト「Edgecross」活用による通信規格の異なるデータの収集、②AI(NECの「インバリアント分析技術」を活用したデータ分析と異常の見える化、③AIを活用し、暗黙知を「見える化」した制御ルールの設定、などが挙げられる。

 新型コロナウイルスへの対応にもつながる3密防止の生産体制の確立は、今後海外拠点にも展開していく計画。さらに、住友ベークライトは、NECとの共創を通じて、ITとケミカルの両方に精通するITケミストの育成にも取り組んでいく。

 両社は今後、デジタルトランスフォーメーションが急速に進展する中、AI、IoTなどのデジタル技術を積極的に活用し、引き続き製造業のデジタル化を加速していく考えだ。

住友ベークライト静岡工場
住友ベークライト静岡工場

住友ベークライトの3月期 QOL関連が伸びるも24%の減益

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2020年5月19日

 住友ベークライトは18日、2020年3月期の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前期比3%減の2066億円、事業利益は17%減の143億円、営業利益は24%減の103億円親会社所有者帰属の当期利益は40%減の90億円の、減収減益となった。期初からの製造業全般にわたる景況感の低迷、円高ドル安ユーロ安為替、2月以降の新型コロナウイルス感染症拡大などが影響した。

 セグメント別に見ると、半導体関連は売上収益2%増の498億円、事業利益4%減の77億円。車載用モータやECU一括封止用途の実績化に加え、5G通信用途の需要が増加し、主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の販売が伸長した。感光性ウェハーコート用液状樹脂も年度前半が好調だった。一方で、半導体用ダイボンディングペーストは前半の不調をカバーできなかった。半導体パッケージ基板用材料はスマートフォンの新機種採用などが増えたが、一部原材料の価格高騰により収益率が悪化した。

 高機能プラスチック関連は売上収益10%減の849億円、事業利益39%減の41億円。世界的な自動車市場の低迷、中国の米国向け電機製品の輸出減、米国子会社のシェールガス・オイル向けの販売不振に加えて、新型コロナの影響による中国での自動車生産・販売の急落により、工業用フェノール樹脂、フェノール樹脂成形材料および銅張積層板は売上が減少した。航空機内装部品は、米国航空機メーカーの一部生産停止の影響を受けた。自動車用成形品は、環境規制関連用途で中国大口顧客を獲得した。

 クオリティオブライフ関連は、売上収益2%増の712億円、事業利益3%増の56億円。医療機器製品は、国内は償還価格改定の影響と企業向け製品が低調だったが、米国市場では販売が好調だった。バイオ関連製品は、既存の糖鎖キットの米国向け輸出や診断用マイクロフルイディクスの販売が好調。また、体外診断用医薬品事業会社SBバイオサイエンスが寄与し売上が倍増した。

 ビニル樹脂シートと複合シートは、医薬品包装用途はジェネリック医薬品メーカー向けが好調だった。電子部品搬送用カバーテープは、中国南通工場が順調に立ち上がった。ポリカーボネート樹脂板と塩化ビニル樹脂板は、サングラス用などの偏光板が欧州市場をメインに拡販したが、建装材・工業設備用は、暖冬と顧客の在庫調整の影響で後半低調。防水関連は、住宅(新築・リフォーム)、マンション向けで堅調に推移した。

 今年度の連結業績見通しについては、新型コロナウイルスの影響など、現段階での合理的算定が困難であることから未定としている。

住友ベークライト 飛沫感染防護マスクの生産を開始

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2020年5月8日

 住友ベークライトはこのほど、これまで培ってきたプラスチック加工技術を生かした飛沫感染防護マスク「フェイスシールド」を生産することを決定したと発表した。フェイスシールドは、感染者治療に従事する医療関係者の二次感染を防ぐ防護具。プラスチック板などで顔面を覆い、飛沫によるウイルス感染を防ぐ機能がある。

装着イメージ 正面
装着イメージ 正面

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、国内の医療現場のひっ迫した状況の改善を支援するため、同社グループでの生産を決定した。同社は、プラスチック配合技術とシート化技術を生かし、医療用ゴーグルやサングラス用のポリカーボネート(PC)樹脂シートを生産している。

 今回、透明性などの光学特性に優れ、ゆがみ無く軽量で高強度のPC樹脂を用いたフェイスシールドの生産・供給体制を整えた。また、同製品は、消毒用アルコールなどによる曇りや強度低下を起こしにくく繰り返し使用することも可能。頭部への装着部分には工業用ヘルメットの内部に採用しているホルダーの技術を応用し、細やかなサイズの調整、ボタンをワンプッシュすることでホルダーを緩めることができる。

装着イメージ 斜面
装着イメージ 斜面

 供給計画として、まずは①試供品100セット(1セット:ホルダー1個+交換用面体10枚入り)を東京都および神奈川県内の病院に無償提供。続けて同数を所管省庁に無償提供する。さらに、②5月中に月産1万セット(ホルダー1万個+交換用面体10万枚)の生産体制を整え順次販売を開始する予定。当面、医療機関向けの供給を最優先に行い、コンビニ・スーパーマーケットなどの民生用についても今後販売していく考えだ。

住友ベークライト 4-6月期決算(5日)

2019年8月6日

[住友ベークライト/4-6月期決算](5日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結(国際会計基準:IFRS)=売上収益52,320(▲3.9%)、事業利益4,380(▲17.2%)、営業利益4,397(▲16.0%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益3,935(▲3.6%)。