帝人フロンティア 超軽量天井材の新用途確認、重ね貼りで吸音効果

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2021年4月1日

 帝人フロンティアはこのほど、超軽量天井材「かるてん」を既存の天井に重ね貼りすることで、反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果を確認したと発表した。「かるてん」は、同社が地震発生時の天井落下による被災を軽減する目的で展開している天井材。横浜国立大学との共同研究により、同製品に吸音効果があることが新たに分かった。

保育施設天井に施行された『かるてん』
保育施設天井に施行された「かるてん」

 保育施設では、掃除のしやすさや壁面を収納や絵画などの掲示スペースに利用することなどから、床や壁面に吸音性能の高い材料を使用することが難しく、一般的に、天井に吸音性能の高い内装材を施工するのが有効とされている。しかし、既存の保育施設の場合、十分な吸音性能がない天井材を使用していることも多く、子どもや保育者の声などの発生音が響き、喧騒な状態が生じることが問題となっている。

 対策としては、既設の天井材の張り替えや、吸音ボードを重ね貼りするなどの方法があるものの、使用できる材料は限られていた。そこで、軽量で薄型ながら、十分な吸音性能と不燃性をもつ「かるてん」を保育施設の天井材として使用し、その効果の検証を行った。

 実際の保育施設で既設の天井に「かるてん」を重ね貼りし、施工前後での残響時間を計測。その結果、施工前は子どもの声の主な領域である周波数1kHz以上で0.7から0.8秒程度と反響しやすい状態だったが、施工後は0.4秒程度に抑えられた。これにより、薄くて軽い「かるてん」を既設の天井に重ね貼りすることで、空間を狭めることなく反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果があることを確認した。

 同社は「吸音性能のある『かるてん』を天井材として使用し、保育施設内の子どもの声や物音の反響を抑えることできれば、子どもの発達や言葉の習得に望ましく、保育者の負担軽減にもつながる」としている。今後は、大規模空間の安全対策という従来の用途に加え、音環境の改善にも貢献できるよう、保育施設をはじめとする様々な空間に向けて「かるてん」を展開していく考えだ。