帝人 特殊な微細構造の脊椎固定用デバイス、保険収載に

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2021年6月18日

 帝人ナカシマメディカルはこのほど、独自の金属加工技術を施した特殊な微細構造をもつ脊椎固定用デバイス「UNIOS(ユニオス)PLスペーサー」を開発し、今年4月に医療機器としての製造販売承認取得を経て、同日に保険収載されたと発表した。

UNIOS PLスペーサー
UNIOS PLスペーサー

 同社は、2012年から日本医療研究開発機構(AMED)の「医療分野研究成果展開事業・戦略的イノベーション創出推進プログラム(S-イノベ)」で、東京医科歯科大学(東京都文京区)を代表機関とする産学連携プロジェクトに参画。9年間にわたり脊椎疾患の治療に使用する新たな脊椎固定用デバイスの開発に取り組んでいた。

 同デバイスは、椎間板ヘルニアや脊椎すべり症などの脊椎疾患の治療に使う脊椎ケージ。カゴのような形状をしており、手術によって除去された椎間板の代替として椎体間の高さを保持するとともに、椎体骨と癒合して固定されることで、背骨の矯正や修復を行う。一般的な脊椎ケージは十分な骨癒合を得るために、自家骨(患者自身の骨)を製品の空洞部分に充填する必要があることから、自家骨の採取による患者の痛みや医師の負担軽減に向けて、自家骨の充填なく、十分な骨癒合が得られる製品の開発が望まれていた。

「UNIOS PLスペーサー」設置イメージ
「UNIOS PLスペーサー」設置イメージ

 こうした中、開発された同デバイスは、椎体骨とのより良い癒合と早期の固定を得るため、椎体骨との接触面に3Dプリンタによる金属加工技術(三次元金属積層造形法)を活用した特殊な微細構造をデザインしているのが特徴。これにより、デバイスの表面や内部での骨形成と同時に骨配向化が誘導されるため、自家骨を粉砕してケージ内に充填するなどの処置を行わずに優れた骨癒合を得ることが期待できる。最大の特徴である微細構造は、大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授が提唱する「骨組織の配向性に着目した骨質評価指標(骨健全性指標)」に基づき、骨配向化の誘導を実現する三次元構造として設計。

 また、北海道医療センターの統括診療部長である伊東学医師による臨床学的知見に基づくアドバイスの下、動物実験を含む非臨床試験による有効性評価データの蓄積やデザインの改良を積み重ね、「UNIOS PLスペーサー」の製品化に至った。同デバイスは、今年7月以降の発売を予定しており、帝人ナカシマメディカルが製品の製造と販売を行う。

 同社は今後、今回確立した技術について、AMEDおよび同プロジェクトに参画した各機関の協力の下、他の脊椎デバイスへの水平展開や人工関節製品への応用を積極的に検討していく考えだ。