出光興産は名村造船所の伊万里事業所で建造された最新鋭の31万t大型原油タンカー(VLCC)の竣工式を、17日に開催した。両社長が出席した式では同船を「APOLLO ENERGY(アポロエナジー)」と命名するとともに、名村造船所から引き渡しを受けた。
同船は、100%出資子会社である出光タンカーの船隊整備の一環として、2016年に発注された最新鋭のマラッカマックス型(マラッカ海峡を通過できる最大船型)のVLCC。
出光タンカーは1962年に当時世界最大の13万tタンカー「日章丸」を、1966年には世界で初めて20万tを超えるVLCC「出光丸」を建造するなど、大型タンカーのパイオニアとしてVLCCの建造と運航で海運業をリードしてきた。
近年では2014年に従来船と比較し1割以上の燃料消費量削減を実現した31万tタンカーの「APOLLO DREAM」を建造し、環境に配慮した技術の導入にも取り組んでいる。
今回竣工した「アポロエナジー」は、名村造船所独自の技術であるNCF(プロペラ前方の整流装置)や超燃費削減型の船底外板塗料の採用など燃料消費量の削減に注力。
また、2006年にILO(国際労働機関)により発効された海上の労働に関する条約「MLC、2006」を設備面でも適用しており、乗組員の生活環境にも配慮している。20年間の長期使用を目指し、航海に欠かすことのできない無線・航海計器が故障した際に、陸上から不具合部位を特定できる監視システムを採用するなど、乗組員による保守整備作業を容易にする、
新しい技術も採用している。出光興産は同船を船隊に加えることにより、日本のエネルギーセキュリティに貢献するとともに、環境への取り組みを一層強化していく。