ENEOS(旧JXTGエネルギー)はこのほど、大型蓄電システム事業への投資を行う英・ゴア・ストリート社に出資することを決定した。ゴア・ストリート社はロンドン証券取引所上場のファンドであり、蓄電池事業分野の大規模プロジェクトに関する調達、ストラクチャリング、管理についての豊富な経験と専門知識など多くの実績を持つ。
同社の事業ポートフォリオは、イングランドとウェールズで合計29MWの蓄電池プロジェクトが稼働しているほか、2021年には北アイルランドとアイルランド共和国にて、合計160MWの蓄電池プロジェクトが開始される予定だ。
ENEOSは、メガソーラー(18カ所、約4.6万kW)や風力(2カ所、約0.4万kW)といった再生可能エネルギー発電事業を全国で展開しており、発電容量を2022年度までに約100万kWまで拡大することを目指している。しかし、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーは天候により発電量が変動するため、火力発電などと比較して、電力の需要と供給をバランスさせることが難しいとされる。
こうした電力需給のバランスを維持する際、瞬時の電力需給の変化に対応可能な蓄電システムの導入・活用が有効であることから、蓄電システムや自家発電機などのエネルギーリソースを制御するバーチャルパワープラント(VPP)事業の実証に取り組んでいる。欧州では、電力需給バランス調整に関する市場が成立しており、蓄電池を活用し収益化するビジネスが実現されている。
今回のゴア・ストリート社への出資により、電力需給のバランス維持に関わる市場取引や蓄電システム運用についての知見の早期取得を図り、今後、同様な市場の成立が予定される日本国内での蓄電システムを活用したVPP事業の展開と関連する新規事業の早期創出を目指していく。
ENEOSは今後も、低炭素・循環型社会の実現に向けて、エネルギーサービスプラットフォームの構築に積極的に取り組んでいく考えだ。