《化学企業トップ年頭所感》日鉄ケミカル&マテリアル 太田克彦社長

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2020年1月10日

 日鉄ケミカル&マテリアルにとって2020年は節目の年だ。3年前に、オリンピックイヤーを終点にした中期経営計画を策定し、一昨年に経営統合を果たした後も、その計画を引き継いできた。2020年は3年間の集大成の年として、計画した諸施策を確実に実行する年にしたい。

 2020年の経営環境は、当社にとっても厳しい方向に向かっている。1つは中国の過剰生産能力問題が当社の各事業の需給に影響を与える。特に、過去2年間好調であったニードルコークスは、中国での過剰生産能力が顕在化し、その解消に数年かかるとも言われている。

 また、5Gをはじめとした電子・機能材料の需要は確実な伸びが見込まれ、当社にとってもチャンスが広がるが、材料メーカー間の競争はさらに熾烈になるだろう。

 こうした中で、我々のやるべきことは、第1に、中期経営計画の「点検・補強」策の迅速な実行だ。厳しい経営環境の中でまず自らの体質を強化しなければならない。

 第2に、お客様との関係を深めることだ。機能材料事業部門と複合材料事業部門は、これまで以上にお客様目線での製品紹介や材料開発に取り組む必要がある。すでにお客様情報の共有化や顧客キャラバンを行っているが、さらにお客様の開発目標を知り、それに相応しい材料をタイムリーに提案できる体制を整える必要がある。

 第3に、経営統合の仕上げとして、新人事制度の制定を行う。両社の制度を単に統一するだけでなく、社員の皆さんのライフステージに則した多様な働き方がより可能となった上で、仕事の効率性も上がるような制度にしていきたい。

 一方、2020年中期計画の先の会社の進むべき道筋について、議論を始めたいと思う。日本製鉄グループにあって、鉄鋼以外の素材を一元的に担う会社としての責任を果たし、また社会の環境意識の高まりや情報化社会の期待に対して、独自の技術を持ってソリューションを提供することで社会貢献できる、そうした会社を目指していきたい。

 最後に、米国でも株主至上主義の見直しが始まっている。社会との共生は、利益よりも優先されるべき会社の基本だ。社会から認められるためには、安全災害ゼロ、環境事故ゼロ、防災事故ゼロ、品質問題ゼロを目指さなければならない。

 こうした目標は、実は、生産量の確保や収益と対立する概念ではなく、これらの4つを成し遂げれば、安定生産も収益も結果として実現されるものだ。改めて、4つの目標への真摯な取り組みをお願いする。

《化学企業トップ年頭所感》 日鉄ケミカル&マテリアル 太田克彦社長

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2019年1月10日

 2019年の想定をしてみると、Key Wordは「節目の年」だと考えている。世界では政治経済の枠組みや制度に大きな変化が起き、国内でも天皇陛下ご退位と新元号施行、秋には消費税引き上げ、改正出入国管理法制定により外国人材の受け入れ拡大が始まる。技術の動向では、5Gの本格化に加え、自動車は輸送手段から移動手段となる方向に進んでいる。2019年のわれわれは、こうした変化が拡大する「節目の年」に身を置くことになるが、日鉄ケミカル&マテリアルはどのように対処すべきかを考えてみたい。

 重要なことは、われわれは荒海に漕ぎ出す一艘の船として「しっかりとした航海図を共有すること」だ。そのために、2020年中期経営計画の点検と補強は欠かせない仕事だ。点検と補強に当たっての基本方針は「足下を固めた上で地に足の着いた(着実な)利益成長を目指す」ということ。

 そのための施策として、第1にコスト・技術・設備(設備保全)の強化、第2に既存事業の体質強化、第3にコアとなる技術を基に「利益成長の道」の明示だ。3月までにコーポレート部門も加わって各事業部の計画について全社的な協議を行った上で、会社全体としてどの事業に人・設備・資金という経営資源を配分するのが適切かという方針を議論し、改定2020年中期経営計画として決定したい。

 新生、日鉄ケミカル&マテリアル社の使命は、①製鉄事業の貴重な副産物の高付加価値化(コールケミカル事業、化学品事業)②伸張する電子機能材料分野での利益成長(機能材料事業部門、エポキシ事業)③炭素繊維複合材の需要増に応える提案力強化(複合材料事業部門)の3つに集約される。

 われわれのミッションはこのように多岐にわたるが、それぞれが使命を果たすことで会社全体としてバランスの取れた事業構成と成長機会を持つことになる。社会や顧客の要請に応えることで、会社が成長するだけでなく社会の変革にも貢献することになる。ここにわれわれの存在意義があるのだ。

 旧化学と旧マテリアルズの営業連携に力を入れるとともに、技術の融合も出来るところから進めて行きたい。この点で重要なことは、研究開発の促進だ。顧客や社会のニーズに遅れることなく、当社のコア技術に基づく戦略的な研究開発を、責任感を持って進めていただきたい。

 最後になるが、安全、環境、防災、品質、ルール遵守は会社の存在と永続にとって、最優先事項だ。日々、新たな気持ちで危険予知に努めてほしい。全ての社員が参加意識を持てる企業カルチャーを目指し、新生、日鉄ケミカル&マテリアルの基礎を作っていこう。