住友化学は30日、オーストラリアの大手農薬会社ニューファーム社との間で、同社グループが所有するブラジルの子会社1社、アルゼンチン・チリ・コロンビアの子会社3社の全株式を、それぞれ子会社の住友化学ブラジル社と住友化学チリ社を通じて取得することで合意したと発表した。
12月開催予定のニューファーム社株主総会での決議後、競争法当局による審査など、所定の手続きを経て買収が完了する見込み。
南米地域は現在、世界の農薬市場の約25%を占めており、北米や中国を上回る市場規模になっている。世界最大の農薬市場で、特に大豆用の需要が多いブラジルや、世界有数の農業国であるアルゼンチンがあることから、世界の食糧需要増加を背景に、同地域での農薬市場のさらなる拡大が予想される。
住友化学は1988年にベーラントU.S.A.社で農薬の開発・販売を開始して以降、北米地域で確固たる事業基盤を築き、現在では住友化学の農薬売上の約30%を同地域で上げている。また、2010年にニューファーム社へ出資して包括的事業提携を始め、世界31カ国で販売提携を中心にシナジー効果を生み出してきた。
一方、2016年にはインドの農薬会社を買収、さらに同国内の住友化学子会社と合併し上場手続きを進めるなど、グローバルフットプリント(自社の販売網)の拡大にも注力し、世界的に事業を展開している。今回の買収によって、南米地域での住友化学の農薬売上高は約3倍となり、北米地域を上回る規模になる。
また、高い成長が期待される同地域に確固たる農薬の自社販売体制を構築できるため、同社が進める一連のグローバルフットプリント整備が大きく進展することになる。
さらに、同社が独自に開発したダイズさび病などに高い効果を示し、2020年以降に市場投入を予定している新規殺菌剤(一般名:インピルフルキサム、有効成分商標:インディフリン)を使い、ニューファーム社と共同で進めてきた新規混合剤開発を一層加速させ、製品ラインアップを拡充。今回強化する南米地域でのグローバルフットプリントを活用し、上市直後からインピルフルキサムの販売を確実に積み重ねることで、同地域での飛躍的な増収につなげる。
加えて、同地域に新たに製剤拠点を獲得できることから、すでに住友化学が保有している、圃場を併設したブラジルの研究開発拠点と合わせて、開発から製造、販売まで一貫した事業運営を実現していく。