レゾナックと川崎重工業は17日、2030年頃の水素利活用を見据えた「川崎地区の水素発電事業開発にかかる協業の覚書」を締結したと発表した。
国際液化水素サプライチェーンの確立が見込まれる2030年頃に、
2023年10月18日
2019年12月13日
川崎重工は、神戸工場で建造中の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式を11日に行った。
全長116m、型幅19mの同船は、世界初の液化水素運搬船。マイナス253℃に冷却し、体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発された。来年秋ごろの竣工に向け、今後は、播磨工場で製造している1250㎥の真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクなどを搭載していく。
同船の初仕事は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」となり、来年10~12月に国内試験を行った後、再来年1~3月にはオーストラリアで製造された液化水素を、約9000㎞の航海を経て日本へ輸送する航行試験が行われる予定だ。
水素は、地球温暖化対策のカギとなる次世代のエネルギーの1つとして注目されている。使用時にCO2などの温室効果ガスが発生しない特性をもち、発電や燃料電池自動車などでの活用が期待されている。
この水素が、石油や天然ガスと同じように一般的に利用される社会の実現に向け、川崎重工は2016年に岩谷産業、シェルジャパン、電源開発(Jパワー)と、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」を結成し、NEDOの支援の下、経済的かつ安定的に大量の水素を調達するための、エネルギーサプライチェーン構築に向けた技術開発を進めてきた。
現在、液化水素運搬船のほか、液化水素の受け入れ基地を兵庫県神戸市に、褐炭ガス化設備をオーストラリアに建設している。また2018年からは、岩谷産業、Jパワー、丸紅、豪AGL Loy Yangとコンソーシアムを組み、豪州連邦政府およびビクトリア州政府より補助を受けてガス精製設備、水素液化・積荷基地などを建設している。
川崎重工は水素事業を持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」のすべてのフェーズで開発プロジェクトを推進。1981年にアジアで初めてLNG運搬船を建造した同社は、液化水素運搬船を世界で初めて完成させ、水素社会の実現を目指す。
2018年12月21日
川崎重工はこのほど、船舶用推進装置である「川崎レックスペラ」の累計生産が1000台を達成したと発表した。
川崎レックスペラは、型式がKST‐180ZF/A1(標準シリーズ)、駆動動力1471kW、プロペラ径2.2m、水平方向が360度で、任意の方向に推進力を得られる全旋回式推進機であり、推進機・舵の機能を備えている。高い操船性を得られることから、主にタグボートやサプライボート、特殊作業船、自己昇降式作業台船(SEP船)などに採用されている。
同社は1975年に川崎レックスペラの開発に着手し、1983年に生産を神戸工場で開始した。
その後、市場要求に応えるためラインアップを拡大し、現在、標準シリーズは11型式(410~4500kW)、水中交換式は4型式(3800~6500kW)、昇降式は5型式(590~3000kW)を生産している。
2013年1月に播磨工場内に専用工場を立ち上げ、生産能力を強化した。2018年には、推進性能の向上による省エネ化、船内でのメンテナンス性の容易化、優れた環境性能という特長をもつ最新モデルのKSR‐E型(標準シリーズ)を開発し、初受注している。
同社は、今後も顧客の多種多様なニーズに応えていくため、経済的で信頼性に優れた川崎レックスペラの開発・生産を通じて、世界の海運・海洋事業に貢献していく考えだ。